4.Januar.2016

第95回天皇杯決勝 ガンバ大阪 2-1 浦和レッズ

 アイヤー、久しぶりの記事でどうもすみませんm(_ _)m
 年取ると仕事以外に割けるリソースが減り、そんなところに仕事が増えて草臥れて、サボってしまいました。今年はこうならないようガンバります(たぶん)。

スタメンと立ち上がり
ガンバ大阪:東口;米倉、丹羽、金正也、藤春;遠藤、今野;阿部、倉田、宇佐美;パトリック
(藤ヶ谷;初瀬;内田達、井手口、二川、リンス;長沢)
・準決勝よりスタメン変更なし、ベンチでは明神に替えてリンス
浦和レッズ:西川;森脇、那須、槙野;梅崎、青木、阿部、宇賀神;興梠、武藤;李忠成
(大谷;加賀、茂木、橋本;関根;高木俊幸、ズラタン)
・柏木欠場で青木スタメン
・守備的なバックアッパーである平川と永田も不在
・準々決勝、準決勝(延長戦)をフル出場の関根はさすがにベンチスタート
・準決勝で先発90分出場のズラタンがベンチスタート、延長戦出場の李が先発

 ガンバはスタメンも基本構造も広島戦同様の立ち上がり。パトリックに下がってもらうことで相手のボランチをケアし、サイドは大外を捨てて全体を圧縮、そうすることで秋の暴走を防ぎつつカウンター時のスペースを確保し好機を高確率で決定機に繋げようという志向でしょうか。おそらく準決勝の組み合わせが決まった時点で、広島戦と決勝をセットにして(交代策や折を見ての宇佐美と秋のポジションチェンジを含めて)仕込んだのでしょう。
 対して浦和は柏木不在の影響か、両ボランチが引いて左右のCBを押し出し気味にし、フィニッシュ以外では真ん中を省略するサイド攻撃千本ノック作戦。コンちゃんが中盤にいて適宜穴埋めとクロス対応にまわれるため、開始からアクシデントまでは、パトリックが得た決定機に象徴されるようにガンバ側の思惑通り試合が進んでいたと思います。

勝敗を分けたアクシデントへの対応力の差
 さて、そんな流れの試合で、まず浦和に槙野が手を負傷というアクシデント。試合後に20針縫うほどの裂傷を応急処置で乗り切って出場を続けたのですが、これにより競り合い等の細部の精度は落ちたと思われるので、是非については難しいところです。永田がいなかったことも監督の決断に影響を与えたのかもしれません。
  そして、この試合最大のアクシデントである米倉の負傷が10分過ぎに発生。ジェソクが軍事訓練で不在のため、コンちゃんを右のSBに廻さざるを得なくなり、中盤の底には替わって入った井手口を投入。この井手口がボールに食いつき気味となり、なおかつ守るべきスペースへの戻りが遅かったためクロス対応等が間に合わず、試合は一気にわからなくなりました。
 柏木がいたなら、彼のエスプリで空いたスペースを衝かれてガンバが決壊(失点)していたかもしれません。また、準決勝の相手であった広島ならCBから縦にボールを通せるので、面倒な場面がいささか増えたでしょう。しかしながら、レッズに彼に替わりうる人材はおらず、またチームとして井手口のつくるギャップを衝く仕掛けもできず……結果として、レッズはガンバの誘導にまんまと嵌まり、バイタルエリアに橋頭堡を作ることができませんでした。

 そのためにガンバは守備に大きな破綻をつくらないまま時間をやり過ごし、カウンターでパトリックがレッズ守備陣をぶっちぎり先制。一度は追いつかれるもいつも通り耐え忍び、後半8分にCKからデザインプレーでパトリックがドッピエッタを決めてリードを得た後は、ズラタンと関根をすかさず投入してきた相手の交代策に応じて宇佐美と秋をポジションチェンジし時計を進め、最後は機を見て内田達也を投入。その後、パトリックと遠藤が決定機を逸したり、抜群のチェイスで後ろを助けた途中出場の長沢の抜け出しがオフサイドになったり、終了間際に――ホイッスルの準備に入ったと思われる村上主審をも慌てさせる――ジョンヤのヘナチョコクリアから槙野に決定機を献上したりしましたが、東口の見事なポジショニングとセービングで逃げ切ることができました。
 相手に与えた決定機は宇佐美(録画を視るとこの試合全体を通じてはきっちり攻守を流れるように切り替えプレーできていたと思います)の一瞬の迷いからサイドを割られての失点と、最後の……ええっと、誰でしたっけ、「スパイ」(via下薗さん)のやらかしからの槙野のシュートというミス絡みのそれら2本だけ。ちょっと惜しかった李のヘディングを入れても都合3本で、決定機の数でもガンバが上回っています。
 ゆえに、1週間で3試合というお上からの無茶振りで起こり得る疲弊や制限にも、試合中の様々な局面やアクシデントにも、個々がチームとなり最大限の精度で応対しきって渇望を具現化させた、会心の勝利と言ってよいと思います。
 翻って浦和には、ガンバと比べるとそういった対応力や精度が足りなかった、それゆえに勝てなかったのだと味スタで感じました次第。対応力の欠如は一本調子ながらも数の暴力で攻めきるというやっているサッカーの基本設計上致し方のない面はありますが……「全部だ、全部よこせ」と闘い続け全てのコンペティションで後一歩までたどり着いたガンバの方が、ファイターもといチームとして上手になっていたということなのでしょう。

戦い済んで
 こうして、苦しくも楽しかった2015シーズンで無事タイトルをひとつ確保し、名も実も得て2016シーズンに繋げることが出来ました。というわけで皆様、本年もよろしくお願い申しあげます。
 そして何より、偉大な男をタイトルとともに送り出せたこと、そういうことができるチームであること、またそういうチームをサポートできることを、誇りに思います。ありがとう、明神智和。
〔以下、小生は年甲斐もなく涙腺崩壊していたので弟にもらった写真をぺたり〕

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14.Juli.2015

2015 J1 2nd-第1節 ガンバ大阪 2-1 ヴァンフォーレ甲府

 相撲でいえば徳俵でうっちゃり、ボクシングでいうとガードなど構わず殴り続けて最終ラウンドストップ勝ち。いやあ、しんどい試合でした。

 そうなってしまった原因はというと、「鉄壁」を称するにはいささかお粗末ではあるけれども、ガンバの休み明けとしてはありふれた事態ともいえる、選手間の意思疎通のミス。それが10分経過しないうちにCBとSBの間で起きてしまい、そこをキレキレの阿部拓馬にドリブルで衝かれてあっさりと失点したこと。前半の半ば過ぎからはしっかり調整をして阿部拓馬を消し、後半は(システム変更により前の守備が弛んでいたことを考えると)東口から逆算した守備がきっちりとできていただけに、残念といえば残念なミスでした。そしてこの先制ゴールにより、甲府は5バックでサイドに蓋をしつつ塹壕を築いてカウンターを当てることに専念できるようになったのですから、苦戦はやむを得ません。

 そこで、ガンバは勝つために前半早々に基本陣形をさっさと変更。ヤットさんとSBをそれぞれ前に出してSHをトレスボランチの脇に配置。結果的にこれが当たり、個々の過重労働と引き替えではありますが勝利を呼び込みました。
 いやはや、サイドの循環に問題を抱えがちなチームなのでどうするかなと思いながら視ていましたが、これなる監督の策は「力業」と称すべき采配でした。相手は堅いとわかっているので、いつもの4-4-2でのサイドの組み立て――ただでさえ今季は相手に最も使いやすい場所を塞がれてうまくいかないことが多い――に現状の力量で拘りいたずらに時間を費やすよりは、あらかじめ遠藤を前に置くことで、彼の経験と技術を恃みに相手のバイタル付近に動く橋頭堡を設けてしまえ、というサッカー。
 攻撃は、そこから多少距離が広めでもSBやSHとのトライアングルを作りつつ、戦術兵器宇佐美やパトリックによる右サイドの地ならしを見せ、相手のCB-WB-CHの間を突っつきながら崩しを狙う。守備は、相手の選手層を計算に入れてのことかもしれませんが、元々のサイド勢に長めのネガティブトランジションで頑張ってもらいつつ、核となるGKとCBのトライアングルにコンちゃんマンのヘルプでなんとかする。
 疲れの見える遠藤をフル出場させられないくらい強引な戦い方でしたが、全員が本当によく頑張ってくれました。甲府を相手に0-1をひっくり返せたのは、勝ち点3以上に大き
いことだと思います。
 なお、コンちゃんトップ下という策もあったと思いますが、監督は相手とスコアを考えてヤットさんにしたのだと思います。4-3-1-2の3の真ん中はレジスタではなく、フォアリベロ・疑似3バックのような味付けでした。

 ただ、このやり方は強引であるが故に、下記の通りおいそれと濫用できるものではないでしょう。何せこれから本格的な夏ですしね。
 ゆえに、今後は、強烈なインサイドの4枚、2トップと中央のベテランコンビを活かすためにも、第一選択を塞がれても外外の組み立てをやり通せるだけのチームになっていってほしいと思います。そして、外外の組み立てにおける最大の問題はレギュラークラスのSHがブレイクスルーできずにいること――時間限定でフタさんを使えばある程度は解決しますが、監督は若手のそれを期待して待ち続けていると思います――であるように思いますので、アジアを制しかつ世界に近づくためにも、SH勢には一層の奮励努力を期待したいと思います。
 そうして勝って成長していって、昨年の再現プラス亜細亜登頂といきましょう!


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2.Juli.2015

2015 J1-1st 第17節 モンテディオ山形 1-3 ガンバ大阪

 平年に比べかなり遅い梅雨入りの報を待ってましたとばかりに雨を降らせる山形の空により、モンテディオ山形のホームNDソフトスタジアムのピッチには水が浮き、とりわけ向かって右側、ガンバのゴール裏サイドは「田ッカー」というべきよろしくないコンディションでの試合でしたが、それがかえってガンバにとっては幸運なことに、山形にとっては不運にも、彼我の間にある個々のスキルの差を際立たせたように思います。
 ゆえに最終的には、内容は二の次でも問題ない状況下での試合で中身の濃い3得点を挙げ、得点力不足解消の目処を立てつつ今後への手応えを得て前半戦を締めくくることができました。過酷な天候にもかかわらず現地に参戦され鬨の声を上げ続けたサポーターの皆様におかれましては、本当に本当にお疲れさまでした。
 それでは以下、試合の概略と、内容的に後半戦への懸け橋となりそうなハットトリックについてざっくりと。


試合の概略
 試合の立ち上がりこそ石崎監督のチームらしい前線からのプレッシングに対して押し込まれ気味となり、セットプレー等を通じてゴールに迫られはしましたが、柏戦の実験的布陣ではなくいつも通りの布陣で臨んだガンバは、個人個人が真摯にプレーし位置取りとマーキングでミスを犯すことなく、過剰に動くことなく距離を保って守り続け、20分過ぎの中原のシュートを終止符として一時の勢いをまんまとやり過ごすと、そこからは着々と攻めに転じて試合を支配。
 その後、前半こそ相手GK山岸の奮闘もあって無得点に終わりましたが、宇佐美のJ1では初となる質の高いハットトリックと、GKを外してから枠も外すというパトリックによる渾身のネタ披露で相手を叩き伏せ、最後は疲れた順にパトリック、遠藤を交替させつつ明神、ジョンヤと逃げ切りカードを着々と切り、3-1で勝利と相成りました。
 攻撃も守備も良いプレーが出来ていたと思います。守備は上述の攻勢に対し両CBが冷静に対処できていましたし、そんなふたりを外そうとするディエゴは藤春がちゃんと掴まえて決定機を作らせませんでした。それがあって、今度は良い攻撃。ソウルを倒してからは影を潜めてしまっていた「良い循環と連動」が、コンディションの扶けもあってようやく戻ってきつつありました。
 3-0とした後の失点は、米倉に掠ったとはいえキム・ボムヨンのパワーのあるクロスが良かったですし、何よりそれを見事な「ゴールへのロブパス」にしてみせたディエゴの咄嗟の思いつきとスキルを褒めるしかないと思います次第。


チームが産んだエースのハットトリック
 1点目は倉田が敵陣真ん中左寄りからピッチコンディションをものともせず人と人の隙間にスピードあるドリブルで突っ掛けてエリア内に侵入し、右横に入ってきた宇佐美にパス。それを宇佐美がトラップからシュートまで間髪を入れず流れるように処理して山岸の股間を抜いてゲット。
 誰に当たりにいくでもないコース取りでボールを見させた倉田の技術も、宇佐美がトラップした段階でシュートを予測し一歩分距離を詰めた山岸の動きも、さすが一流という局面でしたが……トラップからシュートまでに無駄な一拍を挟むことなく、すべてを一連の短い動作に組み込んでグラウンダーの強烈な股抜きシュートへと昇華させることにより、GKにとっては「詰めてさあ準備」という流れの「さあ」の段階でその股を抜きゴールネットを揺らしてみせた宇佐美の技量は出色でした。普通じゃないことを普通にやる宇佐美の頼もしさと恐ろしさを堪能できました。昨年の万博の甲府戦で当時の城福監督が手塩にかけて築いた要塞を出し抜いて陥れたゴールがまさにそうですが、守備側としては普段普通のプロと練習しているので、さしもの山岸もあのタイミング、あのプレーを予測できなかったのだと思います。
 なお、そんな個人技に隠されてしまいそうですが、倉田にボールを供給したヨネの敵陣でのインターセプトとヤットさんとのワンツーを使った中央への持ち上がりも、このゴールの嚆矢として特筆すべきでしょう。良い守備から良い攻撃、そして良いゴール。この得点は、些か諄いようですが、ここのところ忘れかけていたものをチーム全体に思い出させたのではないでしょうか。そう思います。
 
 2点目はゴールキックから。東口のきっちりとしたフィードをパトリックがしっかりと競り勝ち、コンちゃんが「前を向いた守備」の形で拾ってダイレクトヘッドで前にいる阿部へとパス。阿部ちゃんがキープしてヨネの疾走を引き出すと、ボールはパトリックに。それをパトはヨネに出すと見せかけてCBとCBの間にヒールで流し、宇佐美が3バックの中央と1 on 1の状態でボールを受け取るという、個々が特長を出して作り上げたとてもいい形でした。
 そしてここから宇佐美はCB當間の股を抜き、山岸と1 on 1に。山岸は相手が両足を使えるストライカーということを考えると百点満点に近い見事なポジショニングをとっていたと素人ながら思うのですが、先のゴールで憑きものが取れたかのような宇佐美が異次元過ぎました。右足でニアポストを巻く強いシュート、120点、宇佐美の勝ち、2-0。
 ふたたび飛び出した宇佐美の技巧もお見事ですが、彼の強み――それはつまりガンバにとって無二の武器――を引き出したチームによるお膳立て、チームとしてやりたい形のひとつを適切な距離感で具現化したという点を愛でたくなる、やはりいいゴールでした。
 
 3点目は遅攻から宇佐美の個人技と連携でカウンター状態を作り出した、2点目と甲乙つけがたい良い形。
 左サイドでちょっと詰まった状況から無理をせずCBに戻して組み立て直し、一度中央とのワンツーを見せてから右サイドへパス。サイドライン際敵陣に入ったところでそのボールを引き取った宇佐美がドリブルで最初のディフェンダーを外し、そのままCB・WB・CMFを結んだ真ん中のスペースを衝いて4人を引きつけバイタルエリアに侵入すると、右サイドのスペースを陥れた米倉にパスして自身は相棒パトリックとクロスしペナルティエリア内中央付近へ移動。
 それから、サイドをエリア内まで抉ったヨネがマイナスのクロスをグラウンダーで入れると、パトリックがトラップしてからヒールで中央に流し、宇佐美の向こう、左サイドから疾走してきた秋がシュート。コースが甘かったので山岸が止めるも、秋を見て(パトがスルーしなかったことにちょっとがっかりしつつ?)いち早くこぼれ球への準備をした宇佐美がしっかり詰めて、ハットトリック。欲を言えばナイスランをした秋に決めてほしかったのですが、良いゴールでした。
 なお、パトリックの溜めも良いプレーだったと思います。彼はとても頭の良い選手なので、ボールの転がってきたコース(スルーするにはいささか右足に寄りすぎました)とピッチコンディションを踏まえ、ワンクッション入れたのでしょう。そのことで2列目の選手にチームとして決定機を廻せたのですから、ほんとうに良い仕事でした。まあ、その、このあと前述のアレがあったのですが……それでも、この日の彼は素晴らしい仕事ぶりだったと思います。
 この試合でもわかるように、彼の異才――破格のフィジカルと頭の良さ、選手間の距離が整理され適度になるほど(周りも上手いがゆえに)活きてくるブラジル人らしい遊興性――はガンバの攻撃を構築する上で重要な要素です。ちょっと前に移籍報道もありましたが、個人的には是が非でも残ってほしいと思っています。ちょっくらアジアを征服しようよ、パトちゃん。


そんなこんなで前半戦まとめ
 これにてリーグ前半戦が終了となったわけですが、さて、成績は以下の通り。
 
 J1 32ポイント 4位(トップと9差、3位と2差)
 ACL 豪快に出遅れるも怒濤の5連勝でベスト8進出
 ナビスコカップ 出番なし【ACLシードにつきベスト8から】
 天皇杯 ACLベスト8進出のご褒美(ベスト16から参戦)獲得
 
 J1は1チームが無敗で爆走してしまったため、今後を考えるとどこかでもう1勝しておきたかったところ。ただ、クラブとして3年ぶりかつ監督としては初めてのACL参戦ということを考えると、申し分のない成績だと思います。
 ここのところ悩まされていた得点力不足も山形戦で改善の兆しが見えましたので、インターバルでの調整を経た7月11日のJ1再開後は、昨年の「ガンバの夏と秋」の再現を、今度は4位から決めてくれるでしょう。日本でも、アジアでも。


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