31.Mai.2015

2015 J1-1st 第14節 横浜F・マリノス 1-1 ガンバ大阪

 横浜で試合というのに小生は腰痛の気配を感じたので現地参戦を自重しました。すみません。
 現地組の皆様、選手を後押ししての執念の勝ち点1獲得のみならず、地震とそれに伴う帰路の混乱、本当に、本当にお疲れさまでした。

総 評
 27日の水曜日にACLのベスト16セカンドレグを戦い、コンちゃんの累積警告満期(準々決勝ファーストレグは出場停止)というアクシデントこそありながらも常に先行しての3-2で勝ちきり見事準々決勝進出を決め、選手もサポも渇望するアジア再登頂へのベースキャンプ作りに成功した我らがガンバ。
 そこから中2日、偶然にも累積警告でコンちゃん抜きというシチュエーションであることで監督のメンバー選択が注目の的でしたが、結果はパトリック、阿部、岩下兄貴という要の三人をベンチスタートにしてリンス、大森、ジョンヤを先発させ、コンちゃんの代役は明神を据えるというものでした。
 そう、日程は過酷*ながらも、強いチームを相手に「コンちゃん抜きのベストメンバー」を試すよい機会と言えるソリッドなチームが相手の試合で、監督の選択はテストではなくターンオーバー。監督は、巷間で喧伝されるステージ優勝――無論、賞金が貰えるのでそれが出来ればそれに越したことはありませんが――を深追いして選手に負担をかけすぎることなく、「積み上げた結果ステージ優勝ならそれでいい」と構え、小利に聡けれどもその実魯鈍なお上より与えられた年間優勝への条件を最大限に利用する形でシーズン全体を通したマネージメントを心がけ、最終的に魅惑の果実を獲ることを目指してくれているのだと感じました。
 ゆえに、この勝ち点1は「長いシーズンを考えると」価千金と捉えるべきでしょう。チームとして難しいコンディションならびに状況でありながら、強い相手のホームで1ゴールと勝ち点1を得ることができましたから。

収 穫
 この試合での収穫は、リーグ戦4連勝(ナビスコ杯は気にしない)と好調なマリノスに対し、ソウルとの第2戦で立ち後れによる綻びがみられた4-4の守備が、ターンオーバーをしながらも丹羽ちゃんを中心にきっちり締められていたことだと思います。
 ダイヤの原石というべき相手FWアデミウソンにはシュートこそ6本打たれたものの、決まったのはPKのみで、その他は対応ができている状態でのもの。両翼はいつも通りの守備でしっかり封殺。見返してみると、危なげなく守り切ったなという印象です。
 また、試合全体を通して守備が剥がれた危ういシーンは、前半の15分過ぎに藤春のバックパスを東口がミスキックしてエリア内でアデミウソンにわたったところと、後半ロスタイムに敵陣右サイドでもらったセットプレーをカウンターで返されたときくらい。ここも前者は2人が速やかにプレッシャーをかけて事なきを得、後者は途中出場の小椋が必死に追いかけて流れをせき止め、その後のパトニキの背中に当たる同点弾へつ繋いでくれましたから、選手たちは肉体的にも精神的にもしんどい中よくやってくれたと思います。なお前者のシーンは、味方からのパスならアデミウソンはダイレクトで打ててゴールできたでしょうが、いかんせんGKのミスキックですから、ダイレクトで打てなかったのは致し方がないことでしょう。
 メンバーの中でもとりわけ疲れの目立つ宇佐美が、攻撃時の流れの問題もありこれまでの試合と比較して守備面で機能していませんでしたが、それでも前3人の個と真ん中3人の気の利いた動きがうまく組み合わされている相手の攻撃をきっちり押さえ込んだのは、激戦を着実に潜り抜けながらチームが成長していることの証だと思います。
 また、交替出場の小椋は本当に良くやってくれました。これも収穫でしょう。
 蝮のようにボールへと食らいつくそのプレースタイルがために毀誉褒貶喧々諤々と思いますが、この日は与えられた持ち場と仕事をしっかりと斟酌したうえで自分のスタイルを貫く守備を披露し相手にアタック。それによりポイントを半ば力尽くで前に出し、絶えずカバーが現れるよう訓練されたマリノスの守備組織に味方全体で圧力をかけられるように仕向けてくれたばかりか、後半ロスタイムには(後述しますが)同点劇につながる魂の守備をみせてくれました。 
 パス選択でもチャレンジしようという意思が見受けられましたし、この調子でフィットしていけば早晩貴重な戦力になってくれると思います。 

課 題
 課題は言わずもがな、コンちゃん不在時に守備ではなく攻撃の質が顕著に低下してしまうことでしょうか。
 守りに関しては誰が出てもある程度担保できるのですが、繋ぎの質や奪う位置の設定と奪い方、切り替えの速度といった面では、コンちゃんと他の選手には明確な差があります。そのため宇佐美が頻繁に降りてきて相棒のFWが孤立気味となり、全体の布陣がアンバランスになってしまい、結果として攻撃力が落ちてしまう。開幕後しばらくコンちゃん不在のため痛感させられていたそんな課題は、この日も確かにチームに影を落としていました。
 もっとも、この日の対戦相手であるマリノスはよく訓練された距離感で根気強く守備を続けられ、かつ前述のように鋭い攻撃を繰り出せる上位に相応しいチームなので、ベンチも選手もそんな閉塞感に満ちた展開もある程度織り込み済みだったのかもしれません。後半にパトリックと小椋を投入し、宇佐美を一列下げる力業で切り替えのポイントを前に持っていって、セットプレーを増やしていき最後にはゴールをもぎ取ってしまうあたりにそんな気配を、何よりガンバの強さしぶとさを感じました。むしろこの試合で誤算だったのは、藤春のポカでPKを与え早々とビハインドの展開にしてしまったことと、リンスのレッドカードならびに負傷でしょう。
 幸いACL再開までは2か月半ほど間が空きますし、コンディションさえ調っていれば誰が出てもそうは破綻しない守備を構築しつつありますので、コンちゃん不在問題はあまり心配していません。日々の練習で最適解を探り、落とし込んでいければいいなと思います。諄いようですが、今のガンバは誰が出ても最低限は守れますから、ね。

 さてさて、次は3日に万博で鹿島戦。7日の神戸戦は宇佐美貴史大爆発デーなので、大目標への足場を固めるために、強敵相手ではありますがしっかりと戦って勝ちましょう。


*ACLを戦った中国勢や韓国勢は中3日で日曜、北京に至っては月曜日にリーグ戦。そしてガンバはこの試合後も中3日で鹿島戦、また中3日で神戸戦


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26.Mai.2015

2015 ACL ベスト16第一戦 FCソウル 1-3 ガンバ大阪

 ああ、もう明日第二戦だ……というわけで個人的に感じた試合のポイントを短めに。

総 評
 韓国国内の口さがない向きからは「0か1しか入らない二進法サッカー」のように呼ばれていたというFCソウルですが、一方で大崩れすることも少ないチームです。大爆発もしなければ大崩れもしないというチームはトーナメントで粘り強さを発揮したりするもの。とりわけ今回のホームアンドアウェイ戦は最初がソウルということで、彼らにとっては「勝てればいいが0-0でも何の問題もない」試合でした。
 実際、ソウルは守備時に5バックで丁寧にスペースを埋め、セットプレーとカウンターで得点の脈がないか探りを入れていく戦い方を採用。前半のガンバのチャンスと言えば、セットプレーの流れでペナルティスポットあたりから発射予定だったコンちゃんキャノンを主審が身を挺してトリッピングすることで防いだシーンくらいでした(主審はとりあえず今回の遠征費自腹切れ)。
 そんな試合を、選手交代による味付けの変化と変わることのないチームの基礎が蓄えだしている力――これが今季のチームの肝なのかもしれませんが、ガンバはスカウティング結果に基づきチームをがらっと相手に合わせるのではなく、あくまでベースの4-4はそのままにその結果を落とし込み、我慢すべきところは我慢することで、結果としてチームが熟成され基礎体力がついているように感じます――とを混交することでいささか繊細さを感じる堅牢な守備網を能動的に崩しにかかり、最終的に3-1という望外のスコアでものにしたのですから、何の文句も付けようがございません。
 終了間際の失点で画竜点睛を欠いたのは残念ではありますが、2点差というのは大きなアドバンテージです。しっかりと戦ってベスト8へと駒を進めましょう。

ワンポイント:交替とそれを勝ちに結びつけるガンバの強さ
 実際にピッチ上で勝敗を分けたポイントは、ガンバが見せた懐の深さもさることながら、後半からの選手交替にあったと思います。
 今季は守備タスクの達成に重きを置いている(ように見える)大森に替えて崩しのスイッチを入れることに長けた倉田を投入しペースを変えてきたガンバに対し、ソウルは両翼を担っていたベテランコンビのうち左のキム・チウがコ・グァンミンに負傷交代。
 これで守備面ではずれが生じ、攻撃面では前への推進力と何より精度の高いクロス(ミドルシュートもある)が失われ片翼がもげた状態になってしまったソウルに対し、それならばとさらにギアを上げチャ・ドゥリのサイドを押し込み、残された片翼すらたたきのめすという無慈悲な戦い方を選択したことで、相手を文字通り「圧倒」し、結果として3得点を奪うことが出来ました。
 さて、試合中ずれを感じていたこの彼、調べてみると右のアタッカー出身で現在は左右のアタッカーとウイングバックをこなす選手とのこと。もともと代表経験のあるサイドバックであるチャ・ドゥリやキム・チウでは見せないと思しき「ずれ」の原因はこのあたりにあったのかもしれません。実際、決勝点となった2点目の米倉のゴールは、交代で入った彼がガンバの左サイドでの組み立てに対応しきれずどっちつかずになってしまい、米倉に全く競ることが出来ませんでしたから。
 ただ、そういう事柄もきっちり勝利に結びつけたガンバが、やはりチームとして一枚上手だったことは間違いありません。2-0としてからフタさんを阿部に替えて左サイドに投入し、守備もできるまだ元気な倉田を右サイドにまわすことで、相手の左からのクロス(右のドゥリさんにそれを求めてはいけない……)を封殺してみせた監督の采配と選手たちの実際の動きもお見事。3点目は倉田がまわった右サイドでの連動した守備からもたらされたものでしたので、尚更そう感じます。

 明日はセカンドレグ。繰り返しになりますが、自信を持って、きっちり戦って、さあ、上へ。


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18.Mai.2015

2015 J1 1st-第11節 ガンバ大阪 1-1 川崎フロンターレ

 癖の強い強豪・川崎を万博で迎え撃ち、試合開始当初から11人がきちんと守備の役割をこなして相手に何もさせずカウンターを当て続けた見事なサッカーが出来たにもかかわらず1得点に終わり勝ち点3を獲り逃したことは確かですが、追加点を取れないでいるうちに我慢比べに負ける形となりラスト30分は全員が青息吐息となってしまい、前半の姿からは想像もつかないほど見るも無残に崩された守備を晒したにもかかわらず岩下兄貴のプロの仕事で失点を1にとどめ勝ち点1を死守したことも確かです。この日の90分の結果として1-1は、残念ではありますが納得のいくものでしょう。
 以下、大事な大事なソウル戦も近いので愚見を簡単に。

ガンバにとっての誤算2つ
・川崎の守備は、攻めに転じたときの人数と余力の保持に重きを置くため、組織で守るというよりはボールの行ったところでその都度勝負する属人的な色彩が濃いのですが、この日はすぐさま谷口を下げて余らせたことで、パトリックの疲労もありギリギリ破綻しなかった。附言すると、パトリックに替わって入った赤嶺が短い時間とは言え消えてしまった。それが一つ目の誤算でした。
・1-0から点差を離せないままボールを廻されたこともあり、自分から交替を申し出た宇佐美を筆頭に、60分過ぎに疲労がどっと出てそのまま戻せませんでした。ただし、これは浦和戦から上げて城南戦、広島戦と勝ち抜いてきましたので、致し方がないことだと思います。また、合宿帰りの宇佐美が動けなくなってしまったのは、むしろ宇佐美がさらにレベルアップしそうなことの証左に見受けられましたので、誤算ではありましたが、目を細めてさらなる進化を妄想し見守りたいと思います。

ポジティブな課題2つ
・今季顕著に見受けられる「60分の壁」をどう乗り越えるか。チームとして出来ることのレベルは頼もしいことに確実に上がってきていますので、今日の前半の出来が続けられれば、コンディションの更なる向上を経て、やがてサボりどころも掴んで、うまくいくようになると期待しています。
・攻撃面における二列目の貢献度のアップ。ゴールはもちろんですが、シュートも(彼らの能力からすると)少ないのが気にかかります。仕事がきつい分疲れが溜まり、遅れたりズレたりしてしまっているのでしょうか。アウェイのブリーラム戦や富力戦のように彼らが取れるようになれば、チーム全体の回転が良くなると思いますので、この辺の微調整を監督やスタッフに期待したいですし、きっとそうしてくれるでしょう。付け加えるなら、セットプレーでしょうか。キッカーとターゲットの質を考えると、もうちょっとゴールがほしいですね。

これからこれから
 もちろん、ガンバにとっては、某バイエルンのような驚異的なペースで勝ち点を積み重ねていく首位を追いかける上では痛い引き分けです。しかし、今年のレギュレーションでは、上位3位につけていれば優勝するチャンスはあります。換言すると、勝ち点80を超えて年間1位になってもそれは「2位以上・ACL本選ストレートイン確定」でしかありません。ですから、現状はアジアの頂を着実に登りつつ、リーグではたとえ苦しみながらでもこのままこつこつと勝ち点を重ねていけばいいでしょう。昨年経験したように、スリリングな試合を重ねることでチームはより成長し、大輪の花を開かせるでしょうから。
 よって、この試合の結果に関しては、悲観するべきではないと考えます。むしろ、配置を組み替えパトリックを個の努力でゴールから遠ざけつつ自分たちのスタイルに拘り、(宇佐美が早々にガス欠という彼らにとっては幸運な出来事もありましたが)最後は勝利を手繰り寄せかかった川崎に「的ながら天晴れ」と拍手を贈りたいです。  そして何より、全員が組織的に守れるようになりどこからでもカウンター状態を生み出すことの出来る魅力的な――そして練度が高まれば「誰かが抜けても」ある程度の強さを保証できそうな――チームへと脱皮する可能性を見せてくれたガンバの背中を、あらん限りの大音声で強く後押したいと思います。
 というのも……おそらく後半戦あたりになると、この日の「素晴らしい55分」の出来を維持することがかなうようになり、小椋に続いて赤嶺も戦力となり、勝ち点の大収穫祭を開催することが出来るようになると思いますし、そんな逞しいガンバを目の当たりにできると、信じていますから。

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