Oktober 2014

29.Oktober.2014

2014 J1第30節 ガンバ大阪 2-1 FC東京

 日曜くらいまで鼻炎~後鼻漏~咳のコンボを食らっていたので柏戦は欠席、そしてレビューもお休みします。すみません。

 さてさてFC東京戦ですが、 お互いに堅い守り、とりわけ引いた状態でのGKと連動したエリア内守備の堅さはJ1屈指という守備組織をベースにしつつ、一方攻撃面は豊富な運動量をベースにしたカウンターとよくデザインされたサイド攻撃を主武器とするFC東京に対して、同じくカウンターをベースにはしつつも個を活かした突破とアドリブからの展開を織り交ぜることでゴールを陥れようとするガンバ。
 そんな両チームが前半から激しく鎬を削りあい、一歩も譲らず鍔を迫り合わせる、硬質な好試合でした。勝敗を分けたのは、個々の切り替えならびに判断の質と速度。その点でガンバが上回っていたからだと思います。

0-0でも濃密だった前半
 まだお互いに余力がある前半は、守り合いの様相。個の力によるスーパーゴールか、個が犯すよほどのポカくらいしか得点機は産まれそうにありませんでした。
 
 実際、決定機はほとんどなし。ガンバはキレを取り戻してきた宇佐美が独力で突破し血路を開きかけましたが、完全に崩しきるまでには至らず。それでも38分には前半最大のチャンスを作りましたが、宇佐美の上げたクロスがわずかに大きすぎたため、フリーで走り込んできたジェソクがヘディングで狙えずにトラップを選択せざるを得ず、惜しくも逸機してしまいました。  

 一方のFC東京も流れの中ではカウンターを巧妙に寸断され、渡邉や武藤に「入れてください」というボールを供給できる状況は作れませんでした。当たるべきところでは臆せず当たり、コースを切るべきところではゴールの位置から逆算して冷静にそれを切りスペースを与えない。相手の当たりの強さや運動量に張り合いつつ、過剰な動きは避けて後半に向けて余力を残す……そういうふうに、本当に上手く守っていました。
 ただ、43分頃にスローインから一瞬の隙を衝かれて左サイドの奥まで侵入されクロスを上げられ、武藤にダイレクトでジャンピングボレーを放たれたシーンは、しっかりポジションを選んでいた東口の正面に飛んだので事なきを得ましたが、危なかったと思います。ボールがマイナス気味だったため、武藤としてもあれ以上の処理は難しかったでしょうが、両軍通じて前半一番の決定機でした。
 ガンバとしては、もし神様のいたずらで枠ギリギリに飛んだり、DFに当たってファー側に転がったりしていたら、さしもの東口も処理しきれなかったでしょうから、スローインからそういうシーンを許した点は残り7試合に向けてきっちり反省してほしいと思います。まあ、健太のことだからビシッと手綱を締めてくれるでしょう。
 というわけで、前半は0-0で折り返し。 

わずかに、でも明確にガンバが上回った後半
 後半はスコアこそ僅差ですが、「ガンバの試合」だったと思います。

 48分にパトリックとのワンツーで抜け出した宇佐美が「決めに行くぞ」と挨拶代わりの惜しいシュートを放つと、先制点は53分、大森のミドルシュート。シュート自体とても見事でしたが、これは紛れもなく、ガンバが「チーム」で獲ったゴールでした。
 左サイドペナルティエリアの角付近でボールを収められなかったパトリックが、素早く切り替えてこぼれ球を拾った米本にアタックし、ノーファウルで展開を阻止。すると、遠藤がルーズボールを素早く確保(たぶんこの時点で米倉が右サイドを疾走開始)して間髪入れずにバイタルで待つ大森に展開。大森はトラップしてから軽く置き直すとすぐさま、米倉が目に入ったためアタックにいけないファーストディフェンダーの太田を尻目に、かつボランチのチェックやCBのカバーが間に合う前に、綺麗に空いていた逆サイドのネットめがけて右足を一閃、地を這うような弾道のイーグルショット炸裂で1-0。
 球足の速い万博で芝を切るようなグラウンダーをサイドネットですから、前半のラストプレーにおけるアクシデントにより権田に替わって後半から入ったGKの塩田は責められないでしょう。攻め、守り、攻めをめまぐるしく切り替えきり、美しい超ショートカウンターを産み出したガンバが一枚も二枚も上手でした。
 なお付け加えると、塩田は権田が居るから控えというだけで、出た試合は安定した仕事をしてくれる良い選手なので、GK交代が勝負の分かれ目になったということはないと思います。
 
 そして、この試合の裏ハイライトといえる「武藤の8人抜き30m戻りオフサイド」を経て、2点目は59分、遠藤の右足から生まれました。
 FC東京が交代を準備している状況で蹴られた右CKを丹羽がファーサイドで胸トラップする形になり、そのままペナルティエリア外のゴールライン際3mくらいのところまで流れてキープすると、武藤が後ろから勢いよく迫りそのままどつき倒してファウル。これは遠藤がいることを考えると、点が入る入らないに拘わらず余計なプレーでした。武藤はガンバの守備陣にスペースを上手く消されていたので、焦っていたのでしょうか。
 さて、我らがマエストロはそれにより得たFKを、FC東京勝負の二枚替え〔河野と三田を下げ、エドゥーと松田(兄)を投入〕を待ってから、本人曰く「誰も触らなければ入るようなボール」を狙い通りニアにキック。ボールはファーサイドを意識したステップをきっていた塩田の手を掠めて直接ゴールマウスに吸い込まれて2-0。
 なおこれも1点目同様、塩田はあまり責められません。パトちゃんコンちゃんが先手を打って怒濤の勢いでニアに殺到していたことを考えると、GKとしては精一杯のプレーだと思います。何より、狙ってあそこにコントロールしてしまう遠藤の技量が圧倒的でした。
 
 このあとは交替枠を使い切る二枚替えで勝負に出たフィッカデンティ率いるFC東京が、4-3-3とも3-4-3ともとれる組み方でサイドの揺さぶりからのクロス勝負――思ったよりガンバが揺さぶられず武藤の生きるスペースがなくなり、彼が流れの中で長時間「窒息」したことは、おそらく誤算だったと思います――を仕掛けてきました。
 対して健太率いるガンバはというと、それまで同様のサッカーを続けつつ、失点後は倉田を阿部(運動量を担保)、大森を藤春(3バック気味にして相手を下げさせて試合を殺す)、宇佐美をリンス(守備と決定力の担保)と監督が的確にカードを切り、選手たちが終盤の遠藤と阿部による3分半時間稼ぎショウに象徴されるように抜群の状況判断で応えることで、結果として失点シーン以外はほぼ危なげなく、2点を有効に使って試合を閉じきりました。
 
 確かに失点を喫しましたから、ガンバとしても完璧ではありません。
 ただ、失点以降は中央をきっちり締めて崩されることなく、武藤の窒息と右からの攻め手の乏しさに気づいた渡邉千真が右サイドの突破を請け負うことで産み出そうとしたスペースもしっかり埋めて守り、逆にカウンターで攻めきりかかっていました。
 唯一いくらか危険を感じたのは88分過ぎ、その渡邉の突破に正也が釣り出され中にグラウンダーで折り返された武藤に渡りそうになった局面ですが、そのシーンも米倉がちゃんと絞っており、また、東口が適切に動いていたので、見た目ほどの得点機ではありませんでした。
 翻って攻撃面では、パ砲か仕上げのリンスが炸裂していればもちろん最高でしたが、攻めの形はきっちり作れていました。彼我のシュート数は、そのことを端的に表しています。
 ゆえに、スコア以上の明確な差を見せた勝利というべきでしょう。炎の7連戦の最後に、強いチーム相手にそういう試合が出来て勝ち点3を得たのは、素晴らしいことだと思います。

 なお、66分の失点シーンについては下記の通りで、正直相手が一枚上手でしたね。良い勉強になりました。
 
 この日の勝利で、なんとまあ、4連勝すれば(たぶん)リーグ優勝というところまで漕ぎ着けました。
 行きましょう、一戦一戦、12月13日まで、弛みなく。 


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21.Oktober.2014

2014 J1 第28節 ガンバ大阪 1-0 川崎フロンターレ

試合の概観
 勝因は、味方のサポすら喜びのあまり凍りつかせる変態キャッチで同点を確信した川崎攻撃陣をどん引きさせた「やはり東口は神」こと東口のビッグセーブも大きかったのですが、ガンバの右サイドにおける攻防でこちらが優位に立ったことが、一見すると危なそうに見えても実は安定していた守備による無失点につながり、結果として勝利を呼び込んだように感じます。
 
 レナトに対してはSBとSHで挟み込み、ボールを取れなくても縦を切って外に誘導。逆サイドはどちらかというと組み立てには与せず一発を決めるサイドなので、そういう動きに気をつけて対処。中央部は隙間を極力埋めてボランチの位置でボールを刈り取り、カウンターに繋げるという形を(多少の誤算はあれど)最後まで維持することが出来ました。くだんのキャッチも、本当にぎりぎりなのですがパスの速度とコース、ならびにシュートコースが守備陣により絞られているので、結果として東口の見事なステップからのキャッチを生み出したと思います。
 そんな守備、無失点のポイントになっているのがパトリックのフル出場でしょう。私見ですが、川崎の場合、キープしていても攻めきれない(=相手が時間と隙間を与えてくれない)状況では左SBが上がってきてレナトの援護射撃をしつつ相手守備にプレッシャーを与え、サイドをかち割るか、もしくは中央から逆サイドのDFを動かして隙を見出そうとする傾向があります。抜群のスピードを誇る登里を起用した場合は特にその傾向が強く、いったん中央に寄せてレナトの外に彼を持ってきたり、あるいは単純にワンツーで絡んだりして、攻撃の維持に寄与して崩しにかかる。
 ところが、健太監督はパトリックをフル出場させることで、登里とその隣のCBに大きな楔を打ち込んでしまいました。派手な策ではないですが、川崎にとってこれはかなり厳しかったと思います。大久保さんの爆勝宣言通り殴り合いを挑んで殴り倒そうと乗り込んで来たものの、クリンチとボディショットでジリジリ削られ、一瞬の隙をつかれてキャンバスを嘗めるという展開に持ち込まれたのですから。、
 そう、奇しくも2週間で3回対戦することとなった両チームですが、3試合目のリーグ戦でそれまでの2試合の内容と対戦相手の手駒を分析し、ガンバ本来の形の試合を仕掛けて相手を完封し勝ちきった、健太の勝利とも言えると思います。
 対して、風間監督は見つけたと思った穴に拘泥してしまったかなという印象です。遠藤にマンマークといった手段は絶対にとらない監督さんですし、大きく展開できるジェシが不在で、なおかつ大島がアジア大会から帰国後絶不調という状況なので、打てる手はあまりなかったとは思いますが、森島ではなく、小林と大久保の2トップにして森谷を右サイドに置いた方が、彼らの生命線である入れ替わりと動き出しが活性化して、よりゴールに近づけたのでは……そう思いました。
 
 なお、ゴールについては、カウンターにはいまいちついていけず、ややこしい場面は守備陣に甘くレフェリングすることで、重大な責任を取ることを回避した今村義朗主審の存在もあり、カウンターで決めきるまではいきませんでした。そこは監督にとって小さな誤算であったと思いますが、守備で大崩れしないということがまず何よりも強みでありますし、ホームのF・マリノス戦同様精度の高いセットプレー(他方、ジェシがいないとこれによる得点力が著しく減退してしまうのが、今の川崎の悩みの種)でゴールを挙げることができました。
 流れの中で宇佐美が(あまり見せない)裏抜けを試みて何とかしようとしたり、内田と明神で今野の穴を塞ぎきったりと、今後につながる収穫もあったので、結果的には勝ち点3以上に良い試合になったのではないかな、そう思います。



東口のセーブ
http://www.youtube.com/watch?v=Urf0rlEWoTc
 セービングは3分56秒頃から。  レナトの突破の時点でかなり細かく動き、クロスに合わせてステップをきり、シュートが放たれた瞬間横っ飛び。しかも左手でボールの勢いを殺してそのまま右腕でしっかりとキャッチ。普通のGKなら前に弾いていたでしょうが、彼はシュートの数秒前よりボクサーのように動き無駄なく準備してから飛べていて、かつ、(たぶん)関節が柔軟なので、キャッチできるのだと思います。
 故障がちであったため、フルシーズン正GKとして働くのは今季が初めてになると思います――最近キック精度が落ち気味なのはそのためかもしれません。また、直接FKへの対応など、課題もあります。
 しかし、それはまだまだ伸びるGKであるということの裏返しでもありますし、こういうキャッチングが出来る日本人GKがいて、しかもガンバのゴールマウスを守ってくれていることは、純粋に頼もしいことです。  とにもかくにも、恐れ入りました。ありがとう東口。これからも頼みます。

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17.Oktober.2014

第94回天皇杯 準々決勝 ガンバ大阪 2-0 大宮アルディージャ


 そして、等々力でナビスコカップ決勝進出を見届けたら風邪引きました。というわけで等々力の試合映像はハイライトしか見ていないので、まず直近の天皇杯準々決勝を。

先手先手で試合を決めた健太
 水曜日の天皇杯は次の試合となる土曜日の大切なリーグ戦まで中2日。中2日で4連戦という日程の3試合目というガンバはもちろんキツいのですが、他方、大阪まで来て19時キックオフの試合をこなし、当日泊まるにせよ即日バスで移動するにせよ帰らなければいけない大宮の立場に立ってみても、事実上中1.5日くらいしかないキツい日程というべきもの。ゆえに、「ガンバ7枚替え」vs「アルディージャ9枚替え」という試合になったことは、詮無きことでしょう。
 そして、そういうメンバー構成ですから、慣れない前半、お互いに攻撃面でうまくいかないのは道理というもの。
 ガンバは右のMFで起用されたリンスが守備で(張り切りすぎてしまったのか)下がりすぎていたため攻撃時の始動点がゴールからかなり遠くなり、かつ、左SBに藤春を起用しているにもかかわらずパスが足下に終始してしまい彼のスピードを全く活かせなかったため、コンパクトネスを維持する大宮の守備に見事に包囲され、攻撃が機能不全になっていました。
 佐藤が献身的に動いてくれており、二川という出し手もいたので、もう少し何とかなってほしかったなあ、と。ただ、一発勝負で大切なのはまず守備なので、右SB丹羽、コンちゃん久々のCB、ボランチも総替えという組み合わせでも4+2の台形部分がしっかりしていたのはとても良かったと思います。
 一方、大宮も守備はコンパクトに出来ていたのですが、攻撃時にラインを上げられず(スピードとポジショニングに難がある福田の裏を狙われないため?)、また、長谷川が漂ってしまい大山や橋本、渡邉大剛と上手く絡めず、ガンバ同様攻撃が空回り。どうやら大山が収め役だったようですが、それよりもシンプルに長谷川に当て、そこから大山や両サイドハーフが絡んでいった方が、ガンバにとってはイヤだったように思います。

 そんなこんなでハーフタイム、先手を打ったのは健太でした。FW倉田と右MFリンスのポジションをチェンジ。これが大当たり。
 倉田が右サイドの流れを整理し、リンスが前線で無理をしない収め役となることで、パスが鈍行もとい各駅停車から選手を動かす快速にスピードアップし、あっという間にペースを握ることに成功。
 それでも身体を張って守っていた大宮も見事でしたが、59分のフタさんの見事な直接FKはさすがに止められませんでした。 これはFKそれ自体が素晴らしい逸品ですが、FKを獲得したプレー――丹羽から倉田、リンスが降りてきて秋から浮き球パスを受け取り、ワンツーで秋が一気にエリアへ侵入を試みて被ファウル――が、監督の采配意図をきっちり具現化させていたという点でも素晴らしいゴールだと思います。

 その後、そのままでも勝ち切れそうではありましたが、 67分に内田達也がイエローカードを受けると、健太はすぐさま彼に替えてジェソクを投入。丹羽とコンちゃんをそれぞれ本来のポジションに戻すことで、大宮の渋谷監督が点を取るために確保していた2枚のカード、ムルジャと泉澤が場に出される前に、サイドとバイタルの守備を固めつつカウンターの精度を上げる形をとってしまいました。地味ですけれど、とってもいい「先手」だったと思います。この采配のおかげで、78分頃に彼らが入ってきたときには、試合はほぼ「閉じられて」いましたから。

 そして、試合を決定づける2点目がこの試合で攻守によく動いてくれていた佐藤によりもたらされ、勝負あり。佐藤がそのまま足を攣って担架で岡崎と交代という、某一平くん的なちょっとしたアクシデントはありましたが、見事にベスト4進出と相成りました。

2つのゴールを振り返る
 1点目は上述の通り、過程も含めて素晴らしい得点でした【映像はこちら】。
 まるでファーサイドへのキックパストライのような感じで、相手守備陣全員の頭を越えてゴールに落ちてゆくようなさまが、素敵。試合の趨勢を大きくガンバに引き寄せた、冷静なベテランファンタジスタによる珠玉の一振りでした。

 2点目は相手のカウンターの芽をセンターライン付近で摘み取り、いったん左に振ってからバックラインで右へとビルドアップし直すことで相手を前のめりにさせると、右サイドの大森に浮き球で縦パスを入れ、佐藤の裏抜けにスルーパスを合わせたもの。
 まず大森の処理が見事でした。相手を背中でコントロールしながらピッチの内側にトラップして視野を確保すると、その様子を確認しすぐさま福田の裏を取って走り出した佐藤にスルーパス。何気なくやってますけれど、とっても頼もしい、ガンバユースらしい、そう、未来の10番の仕事だなあ、というプレーでした。
 また、疲れているにもかかわらず、相手の真ん中を抜けられる千載一遇の好機を逃さずに走りきり決めきった佐藤もいい仕事をしてくれました。このゴールがなかったとしても充分な仕事ぶりでしたが、きっと、走りきった彼への天の配剤なのでしょう。チームとして、とても意味のあるゴールだと思います。

 これで天皇杯まであと2つ。準決勝は11/26に清水と、味の素スタジアムで。ここまで来たらどこでやろうと「ホーム」にして、頂点へたどり着きましょう。私も(入院でもしない限り)参戦いたします。


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8.Oktober.2014

2014 J1第27節 鹿島アントラーズ 2-3 ガンバ大阪

The wonderful game
 開始僅か4分頃、GK曽ヶ端のパンチングによりガンバの右サイドの方へ飛んだボールをヘディングで前に繋ぎ(これが地味ながら見事でした)、そこからドリブルで斜めに運んで逆サイドに上がってきた遠藤にパス、それを見た赤崎が遠いサイドから(やはり)斜めに切れ込んでスルーパスを引き出し、受け取り、岩下に考える隙を与えず反転シュートでゴール。東口が弾いたところで、真ん中にもファーにもそれぞれ鹿島の選手が詰めているという、敵ながら天晴れの完璧なカウンターでした。
 これをきっかけに両軍が死力を尽くし、結果は3-2でガンバが勝利。
 年間最高試合、僭越ですが現時点では間違いなくそう断じていいと思います。鹿島の鈴木 満強化部長が「負けるとは考えていなかったからちょっとショックだけど、久々にJ1の試合を見た」と試合後にコメントされたそうですしね。そして、そんな試合を制することが出来たので、ガンバはまた一段と強くなる――そして若い選手の多い鹿島も強くなる、そんな気がします。

 さて、試合後に髭ことトニーニョ・セレーゾ監督がなにやら色々と語っていますが、そのコメントとは裏腹に、鹿島はガンバに対する「攻めきり方」を明確に準備してきたと思います。
 カウンターの際に逆サイドに振ってもう一回振るのではなく、勝負どころとみたならスピードに乗ったままニアで作りきる(中央と遠いサイドには保険として詰めておく)、こうすることで、ガンバの守備陣が対応する前にシュートを放つという意識付けが成されていたように感じました。1点目のファーからFWが侵入してくる動きも、2点目のFWとMFの入れ替わりを利用するスルーパスも、まさにそういった攻撃でしたしね。
 もちろん普通のチームならどこかで細かなミスを挟んでしまい、守備が間に合ってボールサイドをほぼ埋められてしまうことで、ガンバに凌がれていたのでしょうが……2失点目における柴崎のコントロールに象徴されるように、鹿島はさすがでした。
 また、途中から投入されたジュルジュ・ワグネルはかなりの脅威でした。プレーの選択が悉く良い塩梅――つまりガンバにとっては厭なところを衝いてくるプレー――で、鹿島の選手にとっては良いお手本になっている、また、そうなってもらうために獲得したのだと感じました。

 しかし、勝ったのは我々ガンバ大阪。 
 ガンバが強敵と相対して「素晴らしい試合」を創出しつつ逆転勝利を収めることができたのは、早々の失点に反発して斬り合いを挑みにかかった選手たちの心意気、サイドを早めに交代することで勝ちに行くことをピッチの選手たちに伝えた監督の采配、多少無理筋気味でも好機を作り出し、最後は個々が局面の強さで相手の守備を上回っていたガンバ攻撃陣の個の力、守備に不安があるがゆえにどん引きせず、オープン気味のカウンター合戦に応じた鹿島の選手たちの姿勢、といった要素がかみ合ったからでしょう。
 とりわけ、特攻野郎パトリックの存在は大きかったと思います。悪天候を物ともせずに相手の左サイドを攻め続け、身体をぶつけ、ラインを下げさせることでボディブローのようにダメージを与えると、自信の幻影でオウンゴールを誘発し、1-2の場面では宇佐美のクロスに身体を投げ出して2点目を奪取。 「凄いの」をたたき込んだリンスと並ぶMOMです。
 なお、勝利を考える上で見逃せない影のターニングポイントは、14分頃の東口による、カイオの心を折るビッグセーブだと思います。もとはといえば彼自身のミスパスから生まれた危機ではありますが、きっちり落とし前をつけたこのセーブがなかったら0-2になっていた上、カイオがイケイケになっていたと思われるので、そうなると少なくともガンバの勝ちは非常に困難であったでしょうから。

3つのゴールを振り返る
 1点目は鹿島の左SB山本のオウンゴール。これはGK曽ヶ端に任せるべきボールだったと思います。
 しかし、それまでのプレーからまともに競り合ったら抑えきれないと判断したであろう、パトリックの存在が彼を(天候を考えるとちょっと無茶な)ヘディングクリアへと走らせたのでしょう。ボールはあえなくゴールマウスへと跳ねていき、出かかったところで山本を見たために歩みを止めていたGKが必死にセービングに向かいましたが、及びませんでした。

 2点目は、ユニフォームを引っ張られていることを感じさせない突進で宇佐美のグラウンダーのクロスを流し込んだパトリックのゴール。宇佐美が加速した途端に自身も一気に加速したパトリックの動きはさすがストライカーといったところですが、何よりも宇佐美の突破が見事でした。
 左サイド、ペナルティエリアコーナーの角付近でクロスのこぼれ球、しかもワンバウンドのボールを胸トラップで拾い、3人の守備陣にボールを見せながらゆっくりと細かなドリブルを始めると、タイミングを見計らってボールを大きめに蹴ってく急加速。そのままサイドを破り、速いグラウンダーのクロスを供給し、ゴールを演出。恐れ入りました。
 理屈や組織を抜きに、10秒もかけずに無から有を産むような決定的な仕事をしてしまう男。
 もちろん、色々な動きの面はこれからもっともっと良くなってくれると期待していますし、そうあらねばならないでしょう。でも、彼のことだからきっと大丈夫。だからこそ、宇佐美については何よりもまず前述の類い稀なる天賦の才能が、言及されて愛でられて然るべきだと、サポとしては思います次第です。

 3点目は仕上げのリンス。
 ヤットのファーに流し気味のクロスが起点なのですが、普通の選手なら頭で中に入れてみるとか、さもなくば、無難にサイドに逃げながら再構築を図るところだと思います。ところが、彼の選択は中のちょっとしたスペースを利用して決めきるというもの。
 サポのご飯が進むこの強烈な仕上げについては、忘れないように呟いておいたので、それをぺたりと。
 何度見ても本当に素晴らしいゴールです。途中で危ないと勘付いて寄せに行きながらも届かなかった小笠原と、手を僅かに掠めども触りきれなかった曽ヶ端の表情もまた印象的でした。
 付け加えると、ボールがちょうど落ちきったあたりで芯を食ってシュートを放っているのですよね。清水戦の素晴らしい「仕上げ」と、この日の「仕上げ」を考え合わせると、これはもう、Jリーグのリズムをモノにしたかなと。スタメンでも途中出場でも、十二分に力量を発揮できる気がします。期待していますよ、ゴール量産。

ちょっとだけ課題を
 この試合から課題を挙げるなら、攻撃面では遅攻の質や精度を上げることでしょうか。何の脈絡がなくても絶好機を作り出してしまうタレントがいるとはいえ、直近唯一の黒星である名古屋戦の内容を考えれば、そればかりに頼るわけにはいきません。米倉が不調加減なことも手伝ってか、遅攻時にSBがあまり絡めていない印象があるので、そのあたりを調整することでパトや両方のSHが真ん中に飛び込んで仕上げられるようなシーンを増やしていけたらな、と思います。
 守備面では「コンパクトネスの維持」を、今一度確認を。なにぶん大雨という天候のために難しかった、ゆえにオープン気味の展開になったのだろうと推測しますが、選手間の距離をもう少し詰め、かつ最終ラインは一歩前に上げる。そういう意識で組織としてカウンターに応対できるようになれば良いのではないかと感じました。


 リーグ戦を6連勝としたガンバは、大切なカップ戦ウィークに突入です。 ひとつひとつしっかり勝って、次のリーグ戦を迎えましょう。
 それにしても、中2日で4連戦ですか。安○先生、遅筆な私には厳しいです ( ゚д゚ ) 


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2.Oktober.2014

2014 J1 第26節 ガンバ大阪 4-1 サガン鳥栖

 鳥栖といえばこれまでリーグ戦では勝ったことがなく、監督交代劇があってからチームカラーが変わりつつあるとはいえ、上位との直接対決3連発、その最初の関門として相応しい、不足のない相手。
 そんな彼らに世界基準のPKで先制されながらも、ボールを廻して相手を走らせ、パトリックが返礼のようなPKをもらい、遠藤による外連味のないキックで追いつくと、後半開始直後の攻勢をチームの芯である守備できっちり耐え抜き、「此の恨み晴らさでおくべきか」といわんばかりのパットトリック(しかもヘディングなし)をお見舞いして、終わってみれば4-1の完勝と相成りました。
 よくよく考えてみれば久々、というか私の記憶が確かならばおそらく今季初の逆転勝ちだったと思うのですが、そんなことがどうでもよくなるくらい、監督の仰る通りいい勝ち方が出来たと思います。

 さて、試合の内容等は皆様が触れておられますし、日にちも経ってしまったので、ポイントだけ簡単に。 

試合のポイント

・利き足は頭と思われていたパトリックが足でハットにPK奪取の超活躍
・大森の復帰が球の出し入れに「相手に対する危険性」をもたらし非常に効果的だった
・圧されていた時間帯を防ぎきった丹羽の身体を張った守備
・相手に狙われ、豊田に前に入られPK献上も丹羽につられて頑張りきった米倉の守備 
・【奉】フタさん二世誕生おめでとうございます【祝】

 ポイントは上記のように色々挙げられるとは思いますが、その根本には守備の約束事の徹底度合いと左SBの守備力の差にあったのではないでしょうか。その象徴が下記の2つのシーンでした。
 
 まずは1-1からの逆転弾となったパトリックの1点目。
 この場面、左サイドでボールを受けた宇佐美に対して鳥栖の守備はドリブルを警戒してかプレッシャーをかけずにいました。つまり、優秀なパサーでもある彼をパスを出せる状態のまま放っておいてしまう形になっていました。
 そんな状況下において、鳥栖のCBは小林が阿部、坂井がイヤなところに入り込んでいる大森をみていましたから、坂井の背中をとっているパトリックは左SBの安田が絞って面倒を見るべきでした。実際、映像を確認すると坂井は首を振ってパトリックを確認し、その後もう一度首を振りながら腕を上げ、安田にそれを要求しているように見えます。当然でしょう。
 しかし安田は……突っ立ったまま。そのまま、出し手と息を合わせラインの裏を難なく陥れたパトリックを悠然と見送り、枠を外さないよう足の面で丁寧にボールを捉えたビッグマンに勝ち越し弾を献上しました。
 組織が緩んでいるせいなのか、個人の資質がもたらした至極単純なボーンヘッドなのかはさすがに外からではわかりませんが、この安田のプレー――否、プレー放棄――は、この失点の第一義として咎められて然るべきだと思います。試合相手は守備の堅いガンバなのですから、尚更です。慌ててマークを切り替えた坂井は間に合うはずもないダッシュをして失点を見届けた直後に安田の方を向き、腕を振って怒っていましたが、然もありなん。
 
 他方、それとは対照的に、守備組織の練度と個の質が相乗することで、ぎりぎりの場面でも粘ることができたのがガンバでした。
 象徴的なのが75分過ぎ、鳥栖のゴールキックを(おそらく)豊田が競ったそのこぼれ球をダイレクトで米倉のサイドに展開され、丹羽が誘い出されると、ライン際を走る金民友から中に切れ込んだ高橋にパス、それを中央に走り込んできた水沼宏太にヘディングされた場面。
 この場面、左SBのジェソクは当初眼前、岩下の背中にいる金井を見て絞っていきますが、岩下が走りながら一瞬を首を振って金井と、その向こう、ファーから走り込んでくる水沼を視認すると、右腕でジェソクにそれを示唆して金井のケアに向かっています。そしてジェソクはすぐさま水沼を確認してからボールホルダーを見やって、クロスの落下点付近にいち早く陣取りました。結果、水沼はジャンプ直前で細かな方向転換を余儀なくされてヘディングを合わせきれずに、ボールは力なく枠の上へ。
 確かに危ない場面ではありましたが、きっちりと流れるように連携して動き、役割を修正しすぐに対応することで、2-2に追いつかれることを防ぎましたから、勝敗を分けた「差」を象徴するポイントとして差し支えないでしょう。本当によく訓練されていて、かつ、きちんそれを試合で発揮できているなあ、と、頼もしく思います次第。
 そして、この場面のわずか2分ちょっと後にパトリックの2得点目が生まれたことは、偶然ではないと思います。

簡単にと言いつつ、素晴らしかった3点目の大森を振り返る
 ポイントを簡単にと言いつつ、どうしても触れておきたいのが大森の復帰です。特にこのゴールでのプレー!
 最初のタッチで相手選手2人の真ん中めがけてドリブルし、彼らを引きつけるとすぐさまパスし、高速カウンターを成立させる「ガンバのエッセンス」溢れるプレー。まことに逸品でございました。
 この場面以外でも、前述のように相手に脅威を与える位置でプレーをし、守備もきっちりこなすという、故障明け最初の公式戦とは思えない大車輪ぶり。もちろんパットトリックヒーローがMOMですが、彼のプレーもMOMに値するものでした。
 大森こそ、「10番」の後継者なんだろうなあ。そんな気がしています。


 これで4位浮上。次は敵地で2位の鹿島(勝ち点3差)と相対し、それからは連戦でナビスコカップの準決勝2試合と天皇杯の準々決勝をこなして、現時点で3位の川崎をホームで迎え撃つという展開。トップとのポイント差は7。三冠が朧気ながら見えてきました。
 我々は追う者なので、死にもの狂いで勝ち続け、タイトルを追い続け、掴み取ってしまいましょう。 みんなで。


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