Dezember 2014

21.Dezember.2014

第94回天皇杯決勝 ガンバ大阪 3-1 モンテディオ山形

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 いざ三冠と、行ってきました日産スタジアム。
 なお、小生のガラケーで撮った上以外の写真はいつも通り弟から借りました。

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全力で当たってきた山形を受け止めた横綱相撲
 三冠の懸かる天皇杯決勝の相手は、モンテディオ山形。序盤戦は苦しみながらも徹底的なハイプレスで徐々に順位を上げ、天皇杯をしっかり勝ち上がりながら最終盤にリーグで6位へと滑り込むと、そこから磐田と千葉を連破してJ1昇格を果たし、その勢いそのままに賜杯を手にし胸に輝く星をつける権利を得るため横浜へとたどり着いたチームです。
 この試合は主力のうち、ガンバからレンタル中のFW川西が契約条項により出場不可、左サイドを支えるキム・ボムヨンが出場停止ということもあり、試合前は「亀になるかも」と、徳島に範を取るかのような発言をした石崎監督でしたが、蓋を開けてみれば山形はキックオフ直後から、J1昇格を勝ち取った「いつも通り」のサッカーを展開したため、面白い試合になりました。
 なお、山形の戦い方に関して、二冠を手にしたクラブ相手にタイトルを争う一発勝負の試合ということを考えるといかがなものか、という見方をすることは尤もなことです。
 ただ思うに、山形の躍進と成功を支えた3バックのハイプレスは、対人となると切り替えが遅く脆さを露呈するCBを極力守るため、という一面があり、よって石崎監督は、引いて人数をかけるとはいえ、パトリックや宇佐美といったJ2には存在しない個と自軍のCBが対峙する機会を増やすのは上策ではないと判断したのでしょう。また、「勝てば自力でプレーオフ進出」という状況下で緊張からフワッとした試合の入りとなってしまい、そのまま戦いきれずに敗戦となってしまった最終節ヴェルディ戦(たまたま生中継を視聴していました)の反省も踏まえ、小細工を弄するよりは普段と同じようにピッチに送り出したほうが良い、という配慮もあったように思います。

 そんな山形に対し、ガンバは阿部が負傷でベンチ外、米倉が軽傷でベンチスタートとなり、SBがジェソクと藤春、SHが大森と倉田のセットで臨むことに。しかし、誰が出てもある程度同じサッカーができる今のガンバらしく、「観ていて面白い試合」をしながらも、スカウティングの成果を落とし込んで普段通りにサッカーが出来ていました。
 先制点は4分、東口がゴールキックを蹴ると、山形は3バックの真ん中を務める石井が最終ラインの前に出ていち早く落下点に入り、後ろに指示を出しながら対応。ところが、パトリックが右サイドから左へ旋回しながらそのボールに走り込みジャンプし、石井より先に触り、バイタルエリアでCBの間にポジションを取った宇佐美へと狙い澄ましてフリックすると、それを宇佐美が胸トラップからバウンドさせずに枠内へとシュート。これは山岸が何とか防ぐも、こぼれ球を宇佐美自身がきっちりと詰めて得点。
 CBを出し抜いたパトリックの動きから按ずるに、狙っていた形なんだろうと思います。ただ、それをあっさりナイスアシストにできるパトリックの身体能力と、とても難しいシュートを事もなげに枠内へ撃ってしまう宇佐美の技術がものの見事に噛み合った、「違い」を見せつける素晴らしいゴールでした。
 そして22分、セットプレーのカウンターから宇佐美がしぶとくボールを確保し一気にドリブルで駆け上がると、左サイドに陣取ったパトリックにパス。パトはちょっぴりたどたどしいトラップから中に切り込み、倉田のランニングに助けられながらシュートコースを作ると、ベストのタイミングで右足を一閃して2-0に。1点目もそうなのですが、J2では守れていたシチュエーションでも簡単にシュートまで持って行ってしまうガンバの2トップに、山形は抗うことができなかった印象です。
 
 リードしてから、特に2点差となって以降は、プレスを緩める(球際は緩めない)代わりにボランチ、CB、GKが適宜ボールを散らすことで相手を走らせながら、カウンターを当てていくサッカーにシフトチェンジ。3点目までかなりの時間を要しましたが、この「走らせる守備」が最終的に勝利をたぐり寄せました。
 とりわけ、縦横無尽にピッチを使って相手をいなしつつ攻めのスイッチを入れた遠藤と、どこにでも現れ(特にバックラインに下がって藤春を使ったりして)攻守を的確に繋いだコンちゃん、ふたりの働きは素晴らしいのひと言に尽きると思います。
 そういうわけで、この試合は走行距離を指標にしてはいけない試合だと考えます。とかく色々と言われる宇佐美も、ボランチや最終ラインのあたりに位置取り、彼自身の存在によりプレッシャーをかけ、ボールを目の前にすると球際を厳しくいってカウンターを成立させるという役目をきっちり果たし、パトリックのゴールをお膳立てしましたから、数字を見て「走っていない」と揶揄するのは御門違いでしょう。
 また、もうひとり触れたいのは藤春。リーグ後半戦ではベンチを温めることが多かったのですが、天皇杯では初戦の金沢戦を除く全試合にスタメンで出場し、この日も相手のストロングポイントである山田を抑え込み、しっかりと貢献してくれました。
 ただし、3点差に出来るチャンスはありながらも山岸の奮闘もあり出来なかったことが、結果として試合の興味を持続させることになったので、そこは来季に向けたチームとしての反省点として捉えなければなりません。終わらせられる試合は速やかにそうすることで、連戦の消耗を減らせるはずです。

 さて後半、石崎監督が修正。左のWB伊東を舩津に代えてフィジカルを担保することで、もともと攻撃に魅力がある石川の上がりを活かそうとし、そのうえでトップの位置にいたディエゴのポジションを下げてフリーマン気味にすることでボールと選手双方の動きを豊かにすると、60分にはザキさんこと山﨑に代えてターゲットマンとして林を投入。ここから70分過ぎまで、山形は攻撃の形が整理されてとても良いサッカーをしていました。
 実際62分、山形の心臓であるボランチの松岡がディエゴを追い越しゴール前に行き、オーバーラップを仕掛けたCBの石川がライン際に陣取った船津のパスを引き出しサイドを割ってクロスを入れたところ、ちょうどガンバのCBふたりは揃って足が止まってしまい、ボールは松岡へとわたり、最後は彼がトラップした隙を狙って何とか安全に処理しようとしたコンちゃんに当たってフリーのロメロ・フランクのもとへ。これを彼がダイレクトでしっかり振り切ってゴールに結びつけ、スコアは2-1。
 そのあとも山形は、ガンバのカウンターを山岸の人間ロケット発射等でぎりぎり凌ぎつつ攻勢を続けましたが、(切り替えで後手を踏み立て直す前に攻めきられていた準決勝・清水戦の前半のように)ガンバの守備陣が流れの中で大穴を空けることはなく、69分の宮阪の直接FKと70分のディエゴのシュートを東口がきっちり止めると、その後は運動量の落ちていった山形を尻目に飄々と時間をつぶしてゆき、岩下の負傷も急遽交代で出場となったジョンヤがしっかりとプレーして大事には至らず。一方、山形は三枚目のカード――ロメロ・フランクに替えて中島を投入――を切って立て直しを図るも、その後に右サイドの攻守を担う山田が足を攣ってしまい事実上10人に。やはり、「走らせる守備」が効いていたのだと思います。
 そして最後は85分、試合を決めようと上がった遠藤からバイタルのスペースに陣取った宇佐美へとボールがわたり、それをミドルで沈めて3-1で勝負ありとなりました。このシュート、相手に当たって入るのですが、宇佐美のシュートモーションが小さいのでコンマ何秒の差でそうなるのだろうと、現地で観て思いました次第。
 かくして師走の横浜にて、三冠は成りました。

バクスタからの試合後の情景

・三冠の儀式
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・なんとなくじんとくる
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・バックスタンドには藤春がシャーレを掲げて三冠を誇示してくれました
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・ジェソク、健太の記念撮影にしれっと映り込む
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・最後はもちろんゴル裏に
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簡単な三冠とこれからへの雑感
「中原に鹿を逐う」という古諺を借りると、J1はさしずめ中原に毎年放たれる三匹の鹿の争奪戦。争覇の始めこそ横一線とはいえ、時が経つにつれ来る年も中原に居を構える権利の確保に専念せざるを得ない「脱落者」が増え、残った者も、ややもすれば頃合いを見計らって標的を絞り込むもの。
 しかし、今年中原に還ってきたガンバが歩んだのはどちらでもない道無き道。前半戦においてはいつか踏み込んだ沼地に片足を突っ込み、途中地べたを嘗め泥だらけになりました。
 それでも老いも若きも一丸となって眼前の鹿を追いつつ弛まず前進を続け、ワールドカップによる中断が明けると試合を重ねるごとに凄みを増してゆき、やがて、三匹すべてを一気呵成に逐い込むという挙に出、リーグ戦連覇中の広島に攻め勝ってまず一匹を獲ると、赤壁にて総力をもって浦和を打ち破り凱歌を揚げたことで天佑を呼び込みひときわ大きなもう一匹を獲、そして……今、ガンバの手中には三匹の鹿。三冠達成でございます。
 星をひとつ増やすことがどれだけ大変なことかを考えると、この喜びはじわじわとじわじわと、きますね。今季のそんな道のりと、選手たちの歓喜と安堵の詰まった表情を思い浮かべると、尚更です。ああ、色々あったけどいい一年だったなあ……まだ10日ほど残ってますが。
 
 なお、今回の偉業で押さえておきたいのは、GKを基点に計算された手堅い守備を土台にした、個々も組織も強さを増して「王者」へと発展していく途上のチームが三冠を成し遂げた、というところ。だからこそ喜びもひとしおです。
 今ざっと思い出してみても、(1)FW不足というエクスキューズがあったにせよ、コンディションが上がらずに降格圏付近を彷徨く羽目になった前半戦の戦い方、(2)もう少しこなれてくるとより高いレベルに到達できると思われるカウンター時のボール廻し、(3)ナビスコカップ決勝やアウェイの柏戦のようにCBとSBの間からバイタル付近に基点を作られたときの対処、(4)遠藤とコンちゃんの後釜問題(当座は「アジアカップによる疲労」を考慮した補強で済ませられるものの、最終的には数年単位で答えを出すべき課題)、などなど、いくつか課題が出てきます。
 今のガンバはそれを潰していく段階のチーム、換言するならさらに強くなる余地のあるチームです。中断明けのリーグ戦の数字(15勝3分け2敗、勝ち点48:34試合で換算すると80超え!)を踏まえてなお、強くなれる、そういうチームです。

 ゆえに、この三冠は我らがクラブにとって単に燦然と輝く慶事というのみではなく、今後の発展に向けた何よりの礎となると思います――レコンキスタを経て大航海時代の幕が開いたように。
 来年は日本だけではなくアジアで黄金の鹿を追いかけることもできます。このチームはそういう舞台に出ることできっともっと強くなり、いずれその黄金の鹿を射止めてくれるでしょう。
 ありがとうガンバ大阪、これからもよろしくお願いします! 


muimatoba at 21:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)Gamba