27.Juni.2015

2015 J1-1st 第13節(延期試合) 柏レイソル 1-0 ガンバ大阪

 スコアこそ0-1ですが、競馬で言うところの「着差以上に差があった(できちゃった)」という内容でした。その差を生んだものは、相手のやり方を承けての試行錯誤や修正を早め早めに為したか否か、という点にあったように思います。
 それでは本エントリではまず柏の勝因をまとめ、この試合を通してガンバのこれからについて(ちょいと長めに)考えてみたいと思います。
 
柏の勝因を簡単に
 勝った柏は、4-5-1で宇佐美をゴールから意図的に離した左のSHに持ってくるというガンバの(唐突な)布陣変更を看取して冷静に対応し、セットプレーからのヘディング――リーグによってはGK東口のオウンゴールと記録するかもしれません――で体よく先制したあとは、きっちり引きながらなおかつ個々の技術に裏打ちされたポゼッションサッカーを体現することで、ガンバの新布陣を巧く利用しパトリックと宇佐美を分断。結果としてガンバ側の修正が遅れに遅れたこともあり、難なく今季のホーム初勝利を挙げました。柏の選手たちの判断と、そういう自分で判断出来るチームを作り上げようとしている吉田達磨監督の普段の仕事が、この試合の勝利をもたらしたと思います。
 この手のチーム作りは柏の現在の順位が示すように我慢が必要なものなので、これからも色々と大変な道のりが待っていることと思いますが、是非ACLの準決勝で相見えたい、そしてこれまでの鬱憤を晴らしたいと思いました次第。
 
本 題
 さてさて一方、ガンバはテスト色の濃い布陣で臨みましたが、あまりに突貫工事すぎると言いますか、選手間で図面の共有がなされないまま現場に出ているような印象を受けました。
 
 前回のエントリでも触れたような気がしますが、この試合で得た知見を踏まえ現時点で最大の懸案である2列目の機能不全、その基本メカニズムを今一度ざっくり述べてみると、う~ん、こんな感じでしょうか。
 1) 相手がサイドを攻めてくると過剰反応してしまい特に2列目が必要以上に後ろ向きに動き
 1b) ボールの反対側のサイドハーフもしばしばそれに同調
 2) そのため攻めに転じてもロングカウンター時は詰められず
 2b) 遅攻やショートカウンター時は疲労もあり容易に補足され動いてボールを受けられず
 3) よって再び守備に転じたときに間延びして必要以上に運動量を使わざるを得ず
 4) そのためいい形でボールを奪えなくなり、攻撃に悪影響が出て……
 5) 以下1)に戻って悪循環
 
 現状のガンバは確かに失点は少ないのですが、翻って相手にしてみれば、守備戦術を墨守してくれるがゆえに攻めどころ(サイド)もまたはっきりしているので、多少無理矢理でもサイドを圧せば案外とマネージメントしやすく嵌めやすい、勝ちにくいけど負けにくい、そんな状態です。
 ゆえに、最終的には相手に比べていち早く心身が疲れてしまい、開始時点よりも立て籠もり成分が濃いサッカーとなり、失点は確かに減るけれども得点機会もまた劇的に減るので、結果として勝ち点が伸びない、そしてサポはカタルシスをあまり得られない、ということになっているのではないでしょうか。
 きっちりとした守備をベースとした、サボらないけど動きすぎないコレクティブなカウンターを放つチームを志向しているのかなと考えていたのですが、いやはやどうしてこうなった。

 そんなガンバの問題点を、監督は中盤の守備を組み替えてトップ下(秋)にプレスをかけさせることで後詰めが前を向いて奪えるように仕向けることで解決し、カウンター攻撃の威力を取り戻し、ひいては2列目に結果を出させてダイナミズムを取り戻そうと試みました。
 ただ、それにしては……秋はサイドハーフ起用時同様あまりにハードワークしすぎてしまい、レスが連動性に欠ける「気持ちプレス」となり、もともと小回りの利くタイプではないパトリックをかえって試合から消していましたし、左のサイドハーフとして起用された宇佐美は、彼をさらにゴールから遠ざけようと仕向ける柏の戦い方に対してあまりに素朴に上下動をして疲弊していました。右サイドで起用された大森もの出来は、相変わらず。テストとはいえ、組織面でもう少し何とかならなかったかと思います。

 そんなうまくいかない状況――現場から覧て手応えを感じる面があったことは確かでしょうが、それ以上に相手のやり方を考慮に入れてこの試合を考えるべきかなと自分は思います――に対し、遅くとも後半開始の段階で監督やスタッフが相手の出方に応じた修正指示を与えていれば、新布陣の実験と勝利への執着という二面のバランスがとれ、最終的な結果は違ったかもしれません。
 しかし、そういう「修正」はとうとう残り20分を切るまでなされず、冒頭で述べたとおりのスコアでの敗戦。
 上位進出のためには是が非でも勝っておきたい試合で見切り発車的な実験を最優先させた感のある監督の采配は、よしんばこの日のテストで得たエッセンスが素となり今季終了時に大輪の花を咲かせたとしても、リーグ戦の試合単体におけるそれとしては疑問符をつけられてしかるべきものと思います。
 いやはや、勿体ないことをしました。

この日の試合の"if"からこれからを考える
 結果論ではありますが、この日の布陣を進化させる場合のヒント、進化していくチームを見守る一助にはなりそうですので愚見を申し述べると、無二の攻撃力を秘める宇佐美をゴールから遠ざけるのは流れを変える上質な奇策ではあるものの、スタートからそうした場合上策ではないので、早めに倉田とポジションを入れ替え、ワントップにはパトリックではなく、小回りが利きなおかつゴールの位置を計算したかのようなボディワークのできる赤嶺――現在のガンバにおいて不当に過小評価されている選手だと思います――を早々に投入するべきだったと考えます。
 特に、この日の相手である柏のCBは連携や動き直しが決して上手くはないので、赤嶺のように駆け引きからワンショットで沈められるタイプのストライカーを使えたら、使うように監督が指示できたら、もっと言えばまわりの選手に使う勇気と余裕があったら、と思います。実際、80分以上経過してから投入された彼は、短い時間ながらもボクサーのように細かい動き出しを繰り返すことで、必死にゴールを陥れようと頑張ってくれていました。如何せん周囲に余裕がなく、ボールが来ませんでしたが……

 さて、監督はこの日の布陣の継続を示唆しているようです。
 個人的には、基本布陣をもとにディフェンスラインを信頼して捨てるべきところは捨てることで、距離感を改善しコンパクトネスを取り戻す方向性で基礎を立て直してから新布陣を構築していく方ががいいような気がしていますが、実験をもとに新布陣を早急に煮詰めるのであれば、上述のように中央の軸となるのは赤嶺と宇佐美でしょう。 赤嶺は新布陣のワントップに相応しいスキルの持ち主ですし、宇佐美と組めばバイタルエリアに敵の注意を引きつけることとなり、クロスも呼び込みやすくなるのではないでしょうか。諄いようですが、赤嶺を宝の持ち腐れにしたままではいけないと思います。
 また、この布陣では、サイドハーフやトップ下の控え一番手にはスキルフルであり一瞬で攻撃を繋げられる、時には無から有を創出するかのようなプレーが出来るフタさんを積極的に起用することも鍵になるのではないでしょうか。将来を見据え堂安という手もあっていいと思います。彼らのプレータイムを増やすことは、ともすると(与えられたタスクのせいもあり)良くも悪くも機械的なプレーになりがちな阿部ちゃん、秋、晃太郎に良い刺激となり、かつ、彼らを休ませることにもつながるでしょう。
 なお、3列目と最終ラインについてはそんなに心配していません(註:たまに出るハルのポカは除く)。
 そうして皆で切磋琢磨させ、全体の底上げを図っていければ、状況に応じてふたつの布陣を使い分けられるようになり、この日の敗戦も無駄にはならないのではないかなと思います。

 昨年と違い勝ち点は29あるので、まずは山形戦を何でもいいから勝ち、つかの間の休息と調整を経て、昨年同様「日本の夏、ガンバの夏」といきましょう。


muimatoba at 00:09│Comments(0)TrackBack(0)Gamba 

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