Gamba

4.Januar.2016

第95回天皇杯決勝 ガンバ大阪 2-1 浦和レッズ

 アイヤー、久しぶりの記事でどうもすみませんm(_ _)m
 年取ると仕事以外に割けるリソースが減り、そんなところに仕事が増えて草臥れて、サボってしまいました。今年はこうならないようガンバります(たぶん)。

スタメンと立ち上がり
ガンバ大阪:東口;米倉、丹羽、金正也、藤春;遠藤、今野;阿部、倉田、宇佐美;パトリック
(藤ヶ谷;初瀬;内田達、井手口、二川、リンス;長沢)
・準決勝よりスタメン変更なし、ベンチでは明神に替えてリンス
浦和レッズ:西川;森脇、那須、槙野;梅崎、青木、阿部、宇賀神;興梠、武藤;李忠成
(大谷;加賀、茂木、橋本;関根;高木俊幸、ズラタン)
・柏木欠場で青木スタメン
・守備的なバックアッパーである平川と永田も不在
・準々決勝、準決勝(延長戦)をフル出場の関根はさすがにベンチスタート
・準決勝で先発90分出場のズラタンがベンチスタート、延長戦出場の李が先発

 ガンバはスタメンも基本構造も広島戦同様の立ち上がり。パトリックに下がってもらうことで相手のボランチをケアし、サイドは大外を捨てて全体を圧縮、そうすることで秋の暴走を防ぎつつカウンター時のスペースを確保し好機を高確率で決定機に繋げようという志向でしょうか。おそらく準決勝の組み合わせが決まった時点で、広島戦と決勝をセットにして(交代策や折を見ての宇佐美と秋のポジションチェンジを含めて)仕込んだのでしょう。
 対して浦和は柏木不在の影響か、両ボランチが引いて左右のCBを押し出し気味にし、フィニッシュ以外では真ん中を省略するサイド攻撃千本ノック作戦。コンちゃんが中盤にいて適宜穴埋めとクロス対応にまわれるため、開始からアクシデントまでは、パトリックが得た決定機に象徴されるようにガンバ側の思惑通り試合が進んでいたと思います。

勝敗を分けたアクシデントへの対応力の差
 さて、そんな流れの試合で、まず浦和に槙野が手を負傷というアクシデント。試合後に20針縫うほどの裂傷を応急処置で乗り切って出場を続けたのですが、これにより競り合い等の細部の精度は落ちたと思われるので、是非については難しいところです。永田がいなかったことも監督の決断に影響を与えたのかもしれません。
  そして、この試合最大のアクシデントである米倉の負傷が10分過ぎに発生。ジェソクが軍事訓練で不在のため、コンちゃんを右のSBに廻さざるを得なくなり、中盤の底には替わって入った井手口を投入。この井手口がボールに食いつき気味となり、なおかつ守るべきスペースへの戻りが遅かったためクロス対応等が間に合わず、試合は一気にわからなくなりました。
 柏木がいたなら、彼のエスプリで空いたスペースを衝かれてガンバが決壊(失点)していたかもしれません。また、準決勝の相手であった広島ならCBから縦にボールを通せるので、面倒な場面がいささか増えたでしょう。しかしながら、レッズに彼に替わりうる人材はおらず、またチームとして井手口のつくるギャップを衝く仕掛けもできず……結果として、レッズはガンバの誘導にまんまと嵌まり、バイタルエリアに橋頭堡を作ることができませんでした。

 そのためにガンバは守備に大きな破綻をつくらないまま時間をやり過ごし、カウンターでパトリックがレッズ守備陣をぶっちぎり先制。一度は追いつかれるもいつも通り耐え忍び、後半8分にCKからデザインプレーでパトリックがドッピエッタを決めてリードを得た後は、ズラタンと関根をすかさず投入してきた相手の交代策に応じて宇佐美と秋をポジションチェンジし時計を進め、最後は機を見て内田達也を投入。その後、パトリックと遠藤が決定機を逸したり、抜群のチェイスで後ろを助けた途中出場の長沢の抜け出しがオフサイドになったり、終了間際に――ホイッスルの準備に入ったと思われる村上主審をも慌てさせる――ジョンヤのヘナチョコクリアから槙野に決定機を献上したりしましたが、東口の見事なポジショニングとセービングで逃げ切ることができました。
 相手に与えた決定機は宇佐美(録画を視るとこの試合全体を通じてはきっちり攻守を流れるように切り替えプレーできていたと思います)の一瞬の迷いからサイドを割られての失点と、最後の……ええっと、誰でしたっけ、「スパイ」(via下薗さん)のやらかしからの槙野のシュートというミス絡みのそれら2本だけ。ちょっと惜しかった李のヘディングを入れても都合3本で、決定機の数でもガンバが上回っています。
 ゆえに、1週間で3試合というお上からの無茶振りで起こり得る疲弊や制限にも、試合中の様々な局面やアクシデントにも、個々がチームとなり最大限の精度で応対しきって渇望を具現化させた、会心の勝利と言ってよいと思います。
 翻って浦和には、ガンバと比べるとそういった対応力や精度が足りなかった、それゆえに勝てなかったのだと味スタで感じました次第。対応力の欠如は一本調子ながらも数の暴力で攻めきるというやっているサッカーの基本設計上致し方のない面はありますが……「全部だ、全部よこせ」と闘い続け全てのコンペティションで後一歩までたどり着いたガンバの方が、ファイターもといチームとして上手になっていたということなのでしょう。

戦い済んで
 こうして、苦しくも楽しかった2015シーズンで無事タイトルをひとつ確保し、名も実も得て2016シーズンに繋げることが出来ました。というわけで皆様、本年もよろしくお願い申しあげます。
 そして何より、偉大な男をタイトルとともに送り出せたこと、そういうことができるチームであること、またそういうチームをサポートできることを、誇りに思います。ありがとう、明神智和。
〔以下、小生は年甲斐もなく涙腺崩壊していたので弟にもらった写真をぺたり〕

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14.Juli.2015

2015 J1 2nd-第1節 ガンバ大阪 2-1 ヴァンフォーレ甲府

 相撲でいえば徳俵でうっちゃり、ボクシングでいうとガードなど構わず殴り続けて最終ラウンドストップ勝ち。いやあ、しんどい試合でした。

 そうなってしまった原因はというと、「鉄壁」を称するにはいささかお粗末ではあるけれども、ガンバの休み明けとしてはありふれた事態ともいえる、選手間の意思疎通のミス。それが10分経過しないうちにCBとSBの間で起きてしまい、そこをキレキレの阿部拓馬にドリブルで衝かれてあっさりと失点したこと。前半の半ば過ぎからはしっかり調整をして阿部拓馬を消し、後半は(システム変更により前の守備が弛んでいたことを考えると)東口から逆算した守備がきっちりとできていただけに、残念といえば残念なミスでした。そしてこの先制ゴールにより、甲府は5バックでサイドに蓋をしつつ塹壕を築いてカウンターを当てることに専念できるようになったのですから、苦戦はやむを得ません。

 そこで、ガンバは勝つために前半早々に基本陣形をさっさと変更。ヤットさんとSBをそれぞれ前に出してSHをトレスボランチの脇に配置。結果的にこれが当たり、個々の過重労働と引き替えではありますが勝利を呼び込みました。
 いやはや、サイドの循環に問題を抱えがちなチームなのでどうするかなと思いながら視ていましたが、これなる監督の策は「力業」と称すべき采配でした。相手は堅いとわかっているので、いつもの4-4-2でのサイドの組み立て――ただでさえ今季は相手に最も使いやすい場所を塞がれてうまくいかないことが多い――に現状の力量で拘りいたずらに時間を費やすよりは、あらかじめ遠藤を前に置くことで、彼の経験と技術を恃みに相手のバイタル付近に動く橋頭堡を設けてしまえ、というサッカー。
 攻撃は、そこから多少距離が広めでもSBやSHとのトライアングルを作りつつ、戦術兵器宇佐美やパトリックによる右サイドの地ならしを見せ、相手のCB-WB-CHの間を突っつきながら崩しを狙う。守備は、相手の選手層を計算に入れてのことかもしれませんが、元々のサイド勢に長めのネガティブトランジションで頑張ってもらいつつ、核となるGKとCBのトライアングルにコンちゃんマンのヘルプでなんとかする。
 疲れの見える遠藤をフル出場させられないくらい強引な戦い方でしたが、全員が本当によく頑張ってくれました。甲府を相手に0-1をひっくり返せたのは、勝ち点3以上に大き
いことだと思います。
 なお、コンちゃんトップ下という策もあったと思いますが、監督は相手とスコアを考えてヤットさんにしたのだと思います。4-3-1-2の3の真ん中はレジスタではなく、フォアリベロ・疑似3バックのような味付けでした。

 ただ、このやり方は強引であるが故に、下記の通りおいそれと濫用できるものではないでしょう。何せこれから本格的な夏ですしね。
 ゆえに、今後は、強烈なインサイドの4枚、2トップと中央のベテランコンビを活かすためにも、第一選択を塞がれても外外の組み立てをやり通せるだけのチームになっていってほしいと思います。そして、外外の組み立てにおける最大の問題はレギュラークラスのSHがブレイクスルーできずにいること――時間限定でフタさんを使えばある程度は解決しますが、監督は若手のそれを期待して待ち続けていると思います――であるように思いますので、アジアを制しかつ世界に近づくためにも、SH勢には一層の奮励努力を期待したいと思います。
 そうして勝って成長していって、昨年の再現プラス亜細亜登頂といきましょう!


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2.Juli.2015

2015 J1-1st 第17節 モンテディオ山形 1-3 ガンバ大阪

 平年に比べかなり遅い梅雨入りの報を待ってましたとばかりに雨を降らせる山形の空により、モンテディオ山形のホームNDソフトスタジアムのピッチには水が浮き、とりわけ向かって右側、ガンバのゴール裏サイドは「田ッカー」というべきよろしくないコンディションでの試合でしたが、それがかえってガンバにとっては幸運なことに、山形にとっては不運にも、彼我の間にある個々のスキルの差を際立たせたように思います。
 ゆえに最終的には、内容は二の次でも問題ない状況下での試合で中身の濃い3得点を挙げ、得点力不足解消の目処を立てつつ今後への手応えを得て前半戦を締めくくることができました。過酷な天候にもかかわらず現地に参戦され鬨の声を上げ続けたサポーターの皆様におかれましては、本当に本当にお疲れさまでした。
 それでは以下、試合の概略と、内容的に後半戦への懸け橋となりそうなハットトリックについてざっくりと。


試合の概略
 試合の立ち上がりこそ石崎監督のチームらしい前線からのプレッシングに対して押し込まれ気味となり、セットプレー等を通じてゴールに迫られはしましたが、柏戦の実験的布陣ではなくいつも通りの布陣で臨んだガンバは、個人個人が真摯にプレーし位置取りとマーキングでミスを犯すことなく、過剰に動くことなく距離を保って守り続け、20分過ぎの中原のシュートを終止符として一時の勢いをまんまとやり過ごすと、そこからは着々と攻めに転じて試合を支配。
 その後、前半こそ相手GK山岸の奮闘もあって無得点に終わりましたが、宇佐美のJ1では初となる質の高いハットトリックと、GKを外してから枠も外すというパトリックによる渾身のネタ披露で相手を叩き伏せ、最後は疲れた順にパトリック、遠藤を交替させつつ明神、ジョンヤと逃げ切りカードを着々と切り、3-1で勝利と相成りました。
 攻撃も守備も良いプレーが出来ていたと思います。守備は上述の攻勢に対し両CBが冷静に対処できていましたし、そんなふたりを外そうとするディエゴは藤春がちゃんと掴まえて決定機を作らせませんでした。それがあって、今度は良い攻撃。ソウルを倒してからは影を潜めてしまっていた「良い循環と連動」が、コンディションの扶けもあってようやく戻ってきつつありました。
 3-0とした後の失点は、米倉に掠ったとはいえキム・ボムヨンのパワーのあるクロスが良かったですし、何よりそれを見事な「ゴールへのロブパス」にしてみせたディエゴの咄嗟の思いつきとスキルを褒めるしかないと思います次第。


チームが産んだエースのハットトリック
 1点目は倉田が敵陣真ん中左寄りからピッチコンディションをものともせず人と人の隙間にスピードあるドリブルで突っ掛けてエリア内に侵入し、右横に入ってきた宇佐美にパス。それを宇佐美がトラップからシュートまで間髪を入れず流れるように処理して山岸の股間を抜いてゲット。
 誰に当たりにいくでもないコース取りでボールを見させた倉田の技術も、宇佐美がトラップした段階でシュートを予測し一歩分距離を詰めた山岸の動きも、さすが一流という局面でしたが……トラップからシュートまでに無駄な一拍を挟むことなく、すべてを一連の短い動作に組み込んでグラウンダーの強烈な股抜きシュートへと昇華させることにより、GKにとっては「詰めてさあ準備」という流れの「さあ」の段階でその股を抜きゴールネットを揺らしてみせた宇佐美の技量は出色でした。普通じゃないことを普通にやる宇佐美の頼もしさと恐ろしさを堪能できました。昨年の万博の甲府戦で当時の城福監督が手塩にかけて築いた要塞を出し抜いて陥れたゴールがまさにそうですが、守備側としては普段普通のプロと練習しているので、さしもの山岸もあのタイミング、あのプレーを予測できなかったのだと思います。
 なお、そんな個人技に隠されてしまいそうですが、倉田にボールを供給したヨネの敵陣でのインターセプトとヤットさんとのワンツーを使った中央への持ち上がりも、このゴールの嚆矢として特筆すべきでしょう。良い守備から良い攻撃、そして良いゴール。この得点は、些か諄いようですが、ここのところ忘れかけていたものをチーム全体に思い出させたのではないでしょうか。そう思います。
 
 2点目はゴールキックから。東口のきっちりとしたフィードをパトリックがしっかりと競り勝ち、コンちゃんが「前を向いた守備」の形で拾ってダイレクトヘッドで前にいる阿部へとパス。阿部ちゃんがキープしてヨネの疾走を引き出すと、ボールはパトリックに。それをパトはヨネに出すと見せかけてCBとCBの間にヒールで流し、宇佐美が3バックの中央と1 on 1の状態でボールを受け取るという、個々が特長を出して作り上げたとてもいい形でした。
 そしてここから宇佐美はCB當間の股を抜き、山岸と1 on 1に。山岸は相手が両足を使えるストライカーということを考えると百点満点に近い見事なポジショニングをとっていたと素人ながら思うのですが、先のゴールで憑きものが取れたかのような宇佐美が異次元過ぎました。右足でニアポストを巻く強いシュート、120点、宇佐美の勝ち、2-0。
 ふたたび飛び出した宇佐美の技巧もお見事ですが、彼の強み――それはつまりガンバにとって無二の武器――を引き出したチームによるお膳立て、チームとしてやりたい形のひとつを適切な距離感で具現化したという点を愛でたくなる、やはりいいゴールでした。
 
 3点目は遅攻から宇佐美の個人技と連携でカウンター状態を作り出した、2点目と甲乙つけがたい良い形。
 左サイドでちょっと詰まった状況から無理をせずCBに戻して組み立て直し、一度中央とのワンツーを見せてから右サイドへパス。サイドライン際敵陣に入ったところでそのボールを引き取った宇佐美がドリブルで最初のディフェンダーを外し、そのままCB・WB・CMFを結んだ真ん中のスペースを衝いて4人を引きつけバイタルエリアに侵入すると、右サイドのスペースを陥れた米倉にパスして自身は相棒パトリックとクロスしペナルティエリア内中央付近へ移動。
 それから、サイドをエリア内まで抉ったヨネがマイナスのクロスをグラウンダーで入れると、パトリックがトラップしてからヒールで中央に流し、宇佐美の向こう、左サイドから疾走してきた秋がシュート。コースが甘かったので山岸が止めるも、秋を見て(パトがスルーしなかったことにちょっとがっかりしつつ?)いち早くこぼれ球への準備をした宇佐美がしっかり詰めて、ハットトリック。欲を言えばナイスランをした秋に決めてほしかったのですが、良いゴールでした。
 なお、パトリックの溜めも良いプレーだったと思います。彼はとても頭の良い選手なので、ボールの転がってきたコース(スルーするにはいささか右足に寄りすぎました)とピッチコンディションを踏まえ、ワンクッション入れたのでしょう。そのことで2列目の選手にチームとして決定機を廻せたのですから、ほんとうに良い仕事でした。まあ、その、このあと前述のアレがあったのですが……それでも、この日の彼は素晴らしい仕事ぶりだったと思います。
 この試合でもわかるように、彼の異才――破格のフィジカルと頭の良さ、選手間の距離が整理され適度になるほど(周りも上手いがゆえに)活きてくるブラジル人らしい遊興性――はガンバの攻撃を構築する上で重要な要素です。ちょっと前に移籍報道もありましたが、個人的には是が非でも残ってほしいと思っています。ちょっくらアジアを征服しようよ、パトちゃん。


そんなこんなで前半戦まとめ
 これにてリーグ前半戦が終了となったわけですが、さて、成績は以下の通り。
 
 J1 32ポイント 4位(トップと9差、3位と2差)
 ACL 豪快に出遅れるも怒濤の5連勝でベスト8進出
 ナビスコカップ 出番なし【ACLシードにつきベスト8から】
 天皇杯 ACLベスト8進出のご褒美(ベスト16から参戦)獲得
 
 J1は1チームが無敗で爆走してしまったため、今後を考えるとどこかでもう1勝しておきたかったところ。ただ、クラブとして3年ぶりかつ監督としては初めてのACL参戦ということを考えると、申し分のない成績だと思います。
 ここのところ悩まされていた得点力不足も山形戦で改善の兆しが見えましたので、インターバルでの調整を経た7月11日のJ1再開後は、昨年の「ガンバの夏と秋」の再現を、今度は4位から決めてくれるでしょう。日本でも、アジアでも。


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27.Juni.2015

2015 J1-1st 第13節(延期試合) 柏レイソル 1-0 ガンバ大阪

 スコアこそ0-1ですが、競馬で言うところの「着差以上に差があった(できちゃった)」という内容でした。その差を生んだものは、相手のやり方を承けての試行錯誤や修正を早め早めに為したか否か、という点にあったように思います。
 それでは本エントリではまず柏の勝因をまとめ、この試合を通してガンバのこれからについて(ちょいと長めに)考えてみたいと思います。
 
柏の勝因を簡単に
 勝った柏は、4-5-1で宇佐美をゴールから意図的に離した左のSHに持ってくるというガンバの(唐突な)布陣変更を看取して冷静に対応し、セットプレーからのヘディング――リーグによってはGK東口のオウンゴールと記録するかもしれません――で体よく先制したあとは、きっちり引きながらなおかつ個々の技術に裏打ちされたポゼッションサッカーを体現することで、ガンバの新布陣を巧く利用しパトリックと宇佐美を分断。結果としてガンバ側の修正が遅れに遅れたこともあり、難なく今季のホーム初勝利を挙げました。柏の選手たちの判断と、そういう自分で判断出来るチームを作り上げようとしている吉田達磨監督の普段の仕事が、この試合の勝利をもたらしたと思います。
 この手のチーム作りは柏の現在の順位が示すように我慢が必要なものなので、これからも色々と大変な道のりが待っていることと思いますが、是非ACLの準決勝で相見えたい、そしてこれまでの鬱憤を晴らしたいと思いました次第。
 
本 題
 さてさて一方、ガンバはテスト色の濃い布陣で臨みましたが、あまりに突貫工事すぎると言いますか、選手間で図面の共有がなされないまま現場に出ているような印象を受けました。
 
 前回のエントリでも触れたような気がしますが、この試合で得た知見を踏まえ現時点で最大の懸案である2列目の機能不全、その基本メカニズムを今一度ざっくり述べてみると、う~ん、こんな感じでしょうか。
 1) 相手がサイドを攻めてくると過剰反応してしまい特に2列目が必要以上に後ろ向きに動き
 1b) ボールの反対側のサイドハーフもしばしばそれに同調
 2) そのため攻めに転じてもロングカウンター時は詰められず
 2b) 遅攻やショートカウンター時は疲労もあり容易に補足され動いてボールを受けられず
 3) よって再び守備に転じたときに間延びして必要以上に運動量を使わざるを得ず
 4) そのためいい形でボールを奪えなくなり、攻撃に悪影響が出て……
 5) 以下1)に戻って悪循環
 
 現状のガンバは確かに失点は少ないのですが、翻って相手にしてみれば、守備戦術を墨守してくれるがゆえに攻めどころ(サイド)もまたはっきりしているので、多少無理矢理でもサイドを圧せば案外とマネージメントしやすく嵌めやすい、勝ちにくいけど負けにくい、そんな状態です。
 ゆえに、最終的には相手に比べていち早く心身が疲れてしまい、開始時点よりも立て籠もり成分が濃いサッカーとなり、失点は確かに減るけれども得点機会もまた劇的に減るので、結果として勝ち点が伸びない、そしてサポはカタルシスをあまり得られない、ということになっているのではないでしょうか。
 きっちりとした守備をベースとした、サボらないけど動きすぎないコレクティブなカウンターを放つチームを志向しているのかなと考えていたのですが、いやはやどうしてこうなった。

 そんなガンバの問題点を、監督は中盤の守備を組み替えてトップ下(秋)にプレスをかけさせることで後詰めが前を向いて奪えるように仕向けることで解決し、カウンター攻撃の威力を取り戻し、ひいては2列目に結果を出させてダイナミズムを取り戻そうと試みました。
 ただ、それにしては……秋はサイドハーフ起用時同様あまりにハードワークしすぎてしまい、レスが連動性に欠ける「気持ちプレス」となり、もともと小回りの利くタイプではないパトリックをかえって試合から消していましたし、左のサイドハーフとして起用された宇佐美は、彼をさらにゴールから遠ざけようと仕向ける柏の戦い方に対してあまりに素朴に上下動をして疲弊していました。右サイドで起用された大森もの出来は、相変わらず。テストとはいえ、組織面でもう少し何とかならなかったかと思います。

 そんなうまくいかない状況――現場から覧て手応えを感じる面があったことは確かでしょうが、それ以上に相手のやり方を考慮に入れてこの試合を考えるべきかなと自分は思います――に対し、遅くとも後半開始の段階で監督やスタッフが相手の出方に応じた修正指示を与えていれば、新布陣の実験と勝利への執着という二面のバランスがとれ、最終的な結果は違ったかもしれません。
 しかし、そういう「修正」はとうとう残り20分を切るまでなされず、冒頭で述べたとおりのスコアでの敗戦。
 上位進出のためには是が非でも勝っておきたい試合で見切り発車的な実験を最優先させた感のある監督の采配は、よしんばこの日のテストで得たエッセンスが素となり今季終了時に大輪の花を咲かせたとしても、リーグ戦の試合単体におけるそれとしては疑問符をつけられてしかるべきものと思います。
 いやはや、勿体ないことをしました。

この日の試合の"if"からこれからを考える
 結果論ではありますが、この日の布陣を進化させる場合のヒント、進化していくチームを見守る一助にはなりそうですので愚見を申し述べると、無二の攻撃力を秘める宇佐美をゴールから遠ざけるのは流れを変える上質な奇策ではあるものの、スタートからそうした場合上策ではないので、早めに倉田とポジションを入れ替え、ワントップにはパトリックではなく、小回りが利きなおかつゴールの位置を計算したかのようなボディワークのできる赤嶺――現在のガンバにおいて不当に過小評価されている選手だと思います――を早々に投入するべきだったと考えます。
 特に、この日の相手である柏のCBは連携や動き直しが決して上手くはないので、赤嶺のように駆け引きからワンショットで沈められるタイプのストライカーを使えたら、使うように監督が指示できたら、もっと言えばまわりの選手に使う勇気と余裕があったら、と思います。実際、80分以上経過してから投入された彼は、短い時間ながらもボクサーのように細かい動き出しを繰り返すことで、必死にゴールを陥れようと頑張ってくれていました。如何せん周囲に余裕がなく、ボールが来ませんでしたが……

 さて、監督はこの日の布陣の継続を示唆しているようです。
 個人的には、基本布陣をもとにディフェンスラインを信頼して捨てるべきところは捨てることで、距離感を改善しコンパクトネスを取り戻す方向性で基礎を立て直してから新布陣を構築していく方ががいいような気がしていますが、実験をもとに新布陣を早急に煮詰めるのであれば、上述のように中央の軸となるのは赤嶺と宇佐美でしょう。 赤嶺は新布陣のワントップに相応しいスキルの持ち主ですし、宇佐美と組めばバイタルエリアに敵の注意を引きつけることとなり、クロスも呼び込みやすくなるのではないでしょうか。諄いようですが、赤嶺を宝の持ち腐れにしたままではいけないと思います。
 また、この布陣では、サイドハーフやトップ下の控え一番手にはスキルフルであり一瞬で攻撃を繋げられる、時には無から有を創出するかのようなプレーが出来るフタさんを積極的に起用することも鍵になるのではないでしょうか。将来を見据え堂安という手もあっていいと思います。彼らのプレータイムを増やすことは、ともすると(与えられたタスクのせいもあり)良くも悪くも機械的なプレーになりがちな阿部ちゃん、秋、晃太郎に良い刺激となり、かつ、彼らを休ませることにもつながるでしょう。
 なお、3列目と最終ラインについてはそんなに心配していません(註:たまに出るハルのポカは除く)。
 そうして皆で切磋琢磨させ、全体の底上げを図っていければ、状況に応じてふたつの布陣を使い分けられるようになり、この日の敗戦も無駄にはならないのではないかなと思います。

 昨年と違い勝ち点は29あるので、まずは山形戦を何でもいいから勝ち、つかの間の休息と調整を経て、昨年同様「日本の夏、ガンバの夏」といきましょう。


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21.Juni.2015

2015 J1-1st 第16節 ガンバ大阪 1-1 ベガルタ仙台

 我らが健太監督はその特徴的な眉目の所為で、別段困っていなくても困っているように見えることがあるのですが、按ずるに今の状態には本当に困っているのだと思います。
 本日は仙台戦というより、ここのところの試合から受ける雑感という形で簡単に書いてみようかと思います。最後に堂安についても、ちらっと。

乖離したら肉薄させればいい
 プロの世界ですからスカウティングされるのは当たり前。ゆえに、監督は昨年から何も修正していないわけではなく、下記のような形でよりソリッドな、カウンターで相手を沈められるチームへと軌道修正を試み、リーグ戦の大事な試合で勝てない場面が散見されるものの、ACLを考えるとそれなりの勝ち点を獲得できてはいます。

 A) 前の2人の守備が向上したので相応の負担を要求
 B) サイドハーフは攻撃面でサイドの崩しを担い、守備はよりタイトに
 C) ラインは上げすぎずに強固なブロックを維持

 しかし、当面の目標であったACL準々決勝進出と前後して、下記のような構造上の問題を相手に衝かれだしたことと、個々の選手たちに溜まる連戦の疲れ(と幾ばくかの安堵)からか、チーム自体が疲弊してきて「悪い意味でソリッドなチーム」になってしまいました。

 a) チャンスは良くも悪くも2人のコンディション、個の力とゴール数(ならびにセットプレー)に依存する形となる
 b-1) 体と頭双方への負担が増大し攻撃時のフリーランニングができなくなる
 b-2) 時間が経つにつれ疲れて前の2人に絡めなくなり、FWがふたりぼっちに
 b-3) 遅攻では容易に補足され中央からの組み立てやSBの上がりに支障を来す
 b-4) シューター寄りの阿部はともかく、倉田や大森も足もとに余裕がなくなる
 b-5) 結果、パトや宇佐美の落としや叩きを活かせなくなり、攻撃にかけられる人数とSHの得点力を強烈に押し下げる
 c)  真ん中への攻めに対しては滅法強いものの、時間の経過とともに間延びを助長

 そして、そんな疲弊の結晶が、サポーターには勝利とゴールへの渇望からくる欲求不満をもたらし、一見さんには睡魔との戦いを強いる、残留ラインと戦う下位チームのようになってしまっている近々のガンバのサッカーなのだと思います。悪い譬えですが、立て籠もって大将首めがけて大筒ぶっ放してるだけといった印象です。
 
 しかしながら、これは決して監督が意図している、理想としているものではないでしょう。これが理想である程度満足しているなら、昨年三冠獲ったりはしていませんから。仙台戦では「化学反応」を期待して堂安をスタメン起用しましたが、サイドから真ん中への意識とそれができるだけの技術を持つ彼のリーグ戦デビュー(ならし運転)は、「本格修正開始」の意思表示だと思います。


 個人的には上記のような策を思いつきましたが、ちょっとした中断前の2試合をアウェイとはいえ連勝し余裕を得、中断を利用してリフレッシュとリコンストラクトを試み、7月からドーンと巻き返してくれると期待しています。

 
堂安デビュー
 ボールの受け方に余裕が出てきたところで前半が終了し、そのまま半ば守備固めとして投入された感のある(けど結果は逆だった)阿部と交替しため、45分しかプレーできなかったのは残念でした。ただ、これは井手口や高木の例を鑑みると予定通りの交替なのかもしれません。
 バイタルエリアに侵入しよう、人と人のあいだで受けよう、2トップとの距離感を考えようという――今のSH陣にいささか欠けている――意識はとても良かったので、これからスピードに慣れて身体の角度を使えるようになれば、出番が増えスキルを発揮できるようになり、やがてはガンバのみならず日本を背負って立つ選手になってくれるでしょう。7月以降も過密日程が待っているので、日々研鑽を積めば次の出番は遠からず来るでしょうから、ゴール等の活躍はその時の楽しみにしたいと思います。



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